本記事は『相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法[改訂版]』(幻冬舎MC、2017年)の一部を抜粋したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

形跡がないとき…配偶者の通帳を見て税務調査官が一言

もし、それらしい形跡がなければ、配偶者(奥さん)の通帳を見ます。そこに公共料金等の支払いが認められると「これは実質的にはご主人の通帳ですね。奥さんの名義を借りた、名義預金ではないですか」ということになるのです。

 

もちろんやっている方は、税金逃れをしているつもりは毛頭ありません。ただ、日頃、お財布を握っている奥さんが管理しやすいよう、自分名義の口座を作ってそこから引き落とすようにしているだけの話なのですが、こと相続に関しては「便利だからそうしたんですね」と物分かりのいいことはいってくれません。

 

実質的には亡き夫の通帳であり、その分がそっくり申告漏れになっているということになるのです。配偶者の税額軽減の特例の枠を使って、きちんと申告するようにしましょう。できれば生前に、夫の口座からの引き落としにするなど、対策をしておきたいものです。

 

④年収と預金の関係について

普通に考えれば、多くの場合、年収と預金額は比例しているものです。年収が高ければ預金に回せる金額が多く、年収が少なければ預金にまでなかなか手が回らないというのが一般的な傾向です。調査官もそのような目で故人の通帳をチェックします。

 

年収に比べて預金が少ない場合は要注意。年収が何千万円もあるのに、預金があまりに少ないときは「これだけ収入があったわりに預金がそれほどでもないのはなぜですか? このお金はどこに行ったんですか?」と突っ込まれます。預金が少ない場合には少ない理由を説明できるようにしておきましょう。

 

⑤貸金庫の有無について

お金に関するものは、自宅ではなく銀行の貸金庫などに保管しているという人もいます。税務調査の際に「全部、貸金庫の中です」と答えると、調査官はその日のうちに行き、中にどんなものが入っているか現物を見て確認します。

 

私もお客さまには打ち合わせの段階で貸金庫を利用しているかどうかを確認し、もし利用しているようであれば、中身を確認していただき、誤解を与えるようなものがないかを整理しておくようお願いしています。

 

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本連載に記載のされているデータおよび各種制度の情報はいずれも、出典元である服部誠著『相続税の税務調査を完璧に切り抜ける方法[改訂版]』(幻冬舎メディアコンサルティング、2017年)の執筆時点のものであり、今後変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。

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幻冬舎メディアコンサルティング

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