本記事は書籍『会社を息子に継がせるな』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。刊行当時より税制・法令改正等ございますが、相続対策の成功事例として再掲します。

「後継者がいないので買って」待ち受ける恐ろしい末路

けれども、調べてみると、その上場企業と取引のある同様の会社が、全国各地に20ほどあることがわかりました。うかつに上場企業に「実は後継者がいないので買ってほしい」などと持ちかければ、それを機に、縁が切れるのではないかという心配をしました。

 

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大事な下請けが数社しかないというなら話は別でしょうが、20も同様の会社があるとなるとどうでしょう。事業の継続が曖昧というなら、この機に発注を止めて他の類似の企業に注文をスライドするかもしれません。上場企業としても、安定した部材の調達は大切だからです。

 

また、勘ぐればですが、上場企業が主導する形で20ある他の類似メーカーとの合併などを求めてくるかもしれません。そうなった場合、売却価格や条件の面で買い手となる企業が優先されることも想像できました。

 

そんなことから、まず上場企業に買収してもらうという線は、オーナー社長と相談のうえで消去しました。

 

次いで、第三者へのM&Aも検討はしたのですが、業種ならではの難しさがありました。金属加工業には騒音がつきまとい、周辺住民などへの配慮が求められます。そのため、現在事業を行っているのも昔からこれ一筋でやっているような企業が中心で、新規の進出などが難しいのです。また特殊な事業ゆえに、事業に必要な知識や経験も関係者にしかわからず、第三者の企業が買って簡単に「異業種進出」とはいかないという事情もありました。

 

そこで考えついたのが、事業承継ファンドへの承継、つまりMBOだったのです。

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会社を息子に継がせるな

会社を息子に継がせるな

畠 嘉伸

幻冬舎メディアコンサルティング

現在、9割の中小企業経営者が後継者不在という問題を抱えています。息子がいない、いても“家業"に興味を示さない、あるいはオーナー社長が手塩にかけてきた会社を任せられるほどの才気がない。だからといって、廃業を選んでし…

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