がん、糖尿病、嚥下困難、胃ろう、認知症、独居うつ、褥瘡など、様々な病気の知識を持っている方は多くても、実際に患者の声を耳にする機会はほとんどありません。本連載は、国民健康保険坂下病院名誉院長の髙山 哲夫氏の著書『新・健康夜咄』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、高齢患者の声を「現役医師」の目線からお届けします。

幼児・高齢者以外保険適用されないのは一体なぜなのか

ところでノロウイルスに関しては疑問を感じることがあります。ノロウイルス感染の検査はすぐに結果が出ます。従って検査をすれば診断は簡単です。でも検査が健康保険の適用となるのは幼児と65歳以上の高齢者だけなのです。

 

その他の年代では検査は自費になり、検査をすれば治療関係の全てが自己負担になってしまいます。そのためノロウイルス感染を疑っても検査できません。何故保険適用にならないのか疑問が残るところです。

 

激しい嘔吐と下痢が主症状のノロウイルス感染ですが通常は2、3日で治ります。だからあまり重要視されていないのでしょうか?

 

でも検査を行いノロウイルス感染だとわかれば、他への感染を防ぐ手だても厳しくできます。施設職員なら感染予防のため出勤を見合わせることもできます。感染症対策で一番大切なことは、正体をはっきりさせ、それに対する手を早く打つことだと化石医師は考えています。そんな化石医師から見ればノロウイルス感染の流行の一因は、検査が保険適用でないことにもあるように思います。

 

可能性はあるものの診断が確定しなければ生活指導、規制もあまり厳格にできません。そのために他へ感染拡大する危険は大きくなります。そう考えるとノロウイルス感染の検査は年代を問わず保険適用に改めるべきです。検査にかかる費用よりも、感染が広がった結果に要する治療費の方がはるかに多いと思います。

 

※本記事は連載『新・健康夜咄』を再構成したものです。

 

 

 

髙山 哲夫

国民健康保険坂下病院名誉院長

 

 

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新・健康夜咄

新・健康夜咄

髙山 哲夫

幻冬舎メディアコンサルティング

最新医療機器より大切なものは、患者さんを想う心――。著者のところには、がん、糖尿病、嚥下困難、胃ろう、認知症、独居うつ、褥瘡など、様々な病気をもつ高齢の患者さんがやってくる。地域の高齢な患者さんの声に真摯に耳を…

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