カナダ中銀、慎重ながら楽観的で現状維持

資源国カナダは地理的にも経済的にも米国と近いことから、政策金利などの金融政策は、変更時期などが米国に近い場合もあります。しかし近いとはいえ、国の事情はやはり異なります。特に通貨はカナダドル高(米ドル安)傾向が足元まで続いており、声明でも遠まわしな表現ながら通貨高をけん制していますが、積極的な通貨高対策には程遠いです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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カナダ中央銀行:市場予想通り、政策は据置、景気には慎重ながら楽観的な面も

カナダ銀行(中央銀行)は2020年12月9日、市場予想通り政策金利を0.25%で据え置くと発表しました(図表1参照)。据え置きは6会合連続です。

 

量的金融緩和政策(週最低40億カナダドルのペース)も現状維持を表明しています。なお、景気についてカナダ中銀は慎重ながら楽観的な見通しを述べています。

 

日次、期間:2019年12月9日~2020年12月9日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]カナダ政策金利とカナダ(加)ドル(対米ドル)の推移 日次、期間:2019年12月9日~2020年12月9日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:新規感染者数、第2波、資源価格、通貨高

資源国カナダは地理的にも経済的にも米国と近いことから、政策金利などの金融政策は、変更時期などが米国に近い場合もあります。しかし近いとはいえ、国の事情はやはり異なります。特に通貨はカナダドル高(米ドル安)傾向が足元まで続いており、声明でも遠まわしな表現ながら通貨高をけん制していますが、積極的な通貨高対策には程遠いです。

 

まず、カナダ中銀のカナダ経済についての現状認識を振り返ります。報道などではカナダ中銀の景気認識は「慎重ながら楽観的」と表現されています。楽観的なのは声明でワクチン開発の進展による新型コロナウイルス感染の収束と経済活動の(中長期的な)正常化を指摘している点です。

 

慎重なのはカナダでも秋から新型コロナの感染者が増加傾向なことです(図表2参照)。カナダの11月の雇用統計では失業率が8.5%と市場予想(9.0%)を下回り改善傾向でしたが、新型コロナの景気への影響が目先懸念されます。声明では21年1-3月期の成長への下押し圧力の可能性が指摘されています。

 

日次、期間:2020年1月22日~2020年12月9日、変化幅の7日移動平均 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]カナダと米国コロナ新規感染者数と死亡者数の推移 日次、期間:2020年1月22日~2020年12月9日、変化幅の7日移動平均
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

なお、蛇足ながら、カナダ中銀は現局面の新型コロナ感染者数の増加を第2波と呼んでいます。米国と比べても夏の新規感染者数の増加が抑制されていたからです。また、図表2では米国の新規感染者数は、桁違いであるため右軸としています。カナダの人口は約3800万人と3億人を上回る米国を下回りますが、この差を考えても米国はより深刻です。もっとも、カナダ当局も現在の新型コロナの状況を深刻に受け止め、一部経済制限を行うと共に、景気対策として11月末に1000億カナダドル規模(GDP〔国内総生産〕の3~4%に相当)の財政政策を打ち出す考えを表明しています。

 

金融政策は今回の声明で現在の低金利を、2023年まで継続する考えを明記しています。また、量的金融緩和については前回の会合で購入額を50億カナダドルから40億カナダドルへ縮小していますが、長期セクターの債券を購入対象に拡大して金利上昇を抑制する考えを示しています。財政政策を当面サポートする姿勢と見られます。

 

なお、カナダドル高は、夏までの新型コロナの抑制と、最近では原油高など資源価格上昇を受け下落しにくい展開となっています。カナダ中銀のマックレム総裁は10月に講演でマイナス金利導入について積極的に議論してはいないが「絶対ないとは言い切れない」と述べています。恐らくカナダドル高が念頭にあったと思われますが、導入の機運は低いようです。カナダドルは当面、資源価格の影響を受けそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『カナダ中銀、慎重ながら楽観的で現状維持』を参照)。

 

(2020年12月10日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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