ファッションアイコンだったエリザベス・テイラー
エリザベス・テイラーはアメリカを体現したハリウッドスターとして知られているが、実は1932年にイギリス人としてロンドンに生まれた。10代から数多くの名画に主演し、8回にも上る結婚や離婚によってゴシップも量産した文字通り大女優であった。間違いなく1950~60年代のファッションアイコンであり、その一挙手一投足、彼女の着ける奇抜なドレスや豪華なジュエリーには皆が注目した。
1984年にエイズ基金を自ら設立するなど、社会貢献活動を通じても世界から愛されていた。東日本大震災の直後、2011年3月22日に心不全のために79歳でこの世を去ったが、わずか数ヵ月で彼女の残した財団からの委託によりクリスティーズが膨大な遺品をすべてオークションにかけることを発表した。
また、この売上金は全てエイズ研究機関に寄付されることになっていた。12月に開催されたオークションでは、数百点のドレスや300点にも上るバッグ、そして80点の重要なジュエリーや、数百点のコスチュームジュエリー全てが1週間ですべて売却された。
さて、東京オフィスからフランソワへの「必死のリクエスト」の甲斐あって、このコレクションから重要なジュエリーが50点ほど、東京プレビューにやってくることになった。会場は東京・日本橋にあるマンダリンオリエンタルホテル。厳重な警戒の中で800名にも上る過去最高の国内ご招待客に加え多くのマスコミが「世紀のジュエリー」を見るために来場された。このコレクションの中からいくつかのハイライトジュエリーを取り上げてみよう。
ブルガリ、カルティエ…豪華なコレクションの数々
まず、ひと際目を引いたのはブルガリのエメラルド・ダイヤモンドネックレスであろう。約60.5カラットの16個の、吸い込まれそうになるくらい美しいコロンビアエメラルドと取り巻きのダイヤで構成され、ブローチとして別々に着用できる23.44カラットの取り外し可能なペンダントを備えた豪華なペンダントネックレスで約600万ドルで落札された。後にブルガリはテイラーのジュエリーを集めた展覧会を世界各地で開催している。
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