がん、糖尿病、嚥下困難、胃ろう、認知症、独居うつ、褥瘡など、様々な病気の知識を持っている方は多くても、実際に患者の声を耳にする機会はほとんどありません。本連載は、国民健康保険坂下病院名誉院長の髙山 哲夫氏の著書『新・健康夜咄』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、高齢患者の声を「現役医師」の目線からお届けします。

亀背の患者は、誤診されやすく治療も難しい

ちなみに私の手元にある平均年齢88歳の亀背の方19名を見ますと、9名の方に喘息の病名がついています。肺炎病名がついた方も4名あります。また8名の方に狭心症の病名がついたり疑われていました。

 

こうした方には通常の逆流性食道炎の治療である酸分泌を抑える薬を使っても、なかなか症状は取れません。腸管の運動を起こりやすくしガスがたまらないようにする治療が有効です。

 

大学病院で手術する寸前まで行ったYさんもこの治療で何とか10年過ごされています。「手術しなければどうなっても知らないぞ」と大学病院の先生に怒られたようですが、どうやらこのまま生涯を全うされそうです。

 

Hさんの場合もこの治療が合いました。胸の痛い発作は無くなったのです。5年間Hさんは生活上の異常を示すことはなく、救急車を一度も呼んでいません。この経過を見ればHさんが認知症でないことは明らかです。逆流性食道炎と共に高齢社会の中で認知症は大きな問題となっています。

 

でもHさんのように私達の観察力不足から作られた認知症も少なからずあります。

 

 

※本記事は連載『新・健康夜咄』を再構成したものです。

 

 

 

髙山 哲夫

国民健康保険坂下病院名誉院長

 

 

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    髙山 哲夫

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