新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の暮らしに多大な影響を及ぼしています。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、コロナ禍「相続や結婚式」トラブルへどう対処すべきか解説します。



A.結婚式の開催が社会通念上不可能であるような場合には、民法536条第1項の「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができない場合」に該当すると解する余地もあります。この場合には、 料金を支払う必要はありません。
 

 

また、契約書又は約款に「不可抗力による免責」に関する条項があるかを確認してください。当該条項の規定内容によって変わってきますが、新型コロナウイルスが当該条項の定める不可抗力に該当する可能性も十分にあります。
 

 

本設問は結婚式に関するものですが、旅行の実施に関して標準旅行業約款には、『天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、 又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。』は、旅行者側からキャンセル料を払うことなく解除できる旨の規定(同約款募集型企画旅行契約の部第16条第2項第3号)があります。

 

これらのいずれにも該当しない場合には、契約条項に定められたキャンセル料・違約金等の金額に従うことになります。

 

もっとも、消費者が購入した航空券・旅行費用・ホテル宿泊料などについて契約に定められたキャンセル料の負担を減免するなどの特別の対応をしている事例も見受けられますので、留意してください。

 

契約条項に定められたキャンセル料・違約金等の金額であっても「解除に伴って事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分」については消費者契約法第9条第1項によって無効となり、事業者は消費者に請求をすることができません。

 

 

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

 

 

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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