「離婚」をすると決意しても、財産分与や親権でトラブルになるケースは少なくありません。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、「親権」トラブルについて解説していきます。

子育てに関わってこなかった夫が「親権」を望んでいる

Q.夫との関係は冷め切っていましたが、子どものために婚姻関係は続けていました。しかし、10年目にして夫の不倫が発覚。これをきっかけに夫に離婚したいと申入れました。子育ても長年ワンオペ状態。夫の協力など皆無でしたので、もちろん親権は私がとるつもりでしたが、夫が子どもの親権を望んできました。さっぱり理解ができず、苛立ちだけが募っています。

 

親権を望む夫に苛立ち…(画像はイメージです/PIXTA)
親権を望む夫に苛立ち…(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.子どもの親権争い。実は、相手の”報復”のために親権を求める場合も少なくありません。子どもへの愛情に裏打ちされた要求であればいいですが、「相手よりアッパーに立ちたい」「相手の求めていることを奪ってやりたい」という、報復的な要求となると、誰のためにもならないことになります。
 

日本では、夫婦のどちらか一方を「親権」者と定めなければ離婚できないことになっています。協議→調停→訴訟まで戦ったとしても、最終的には、どちらかに親権が必ず定まります。共同親権への時代の流れもありますが、それが仮に立法に反映されることがあったとしても、それはまだまだ先のことでしょう。

 

少なくとも現時点では、どちらかが諦めない限り、最後まで争うしかありません。仮に難しいと思われる場合でも、どうしても諦めがつかない、というご意向をお持ちの方には、弁護士として一緒に伴走し続けます。でも、その戦いは、数年を要する非常に長い戦いになることがあります。

 

子どものことを第一に考えるのであれば、あるいは自分の人生のことを考えるならば、長引く裁判を避け、次の新しい人生に向かう準備をすることも一つの選択です。徹底的に争うことを止め、一定のところで妥協することで、離婚後も夫婦の間に信頼関係が残り、子どもへの面会がスムーズになるケースも多いです。

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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