後妻の生活を守りつつ、実子に資産を承継したい高齢男性の思惑

超高齢化社会となった日本。認知症対策のほか、遺言書では定められない部分までもきめ細かくカバーできるとして「家族信託」が注目を集めています。どのようなことができるのか、具体的な事例を用いて活用法を解説するとともに、仕組みをわかりやすく整理していきます。今回は、後妻の生活の維持と実子への不動産承継の実現についてです。※本記事は、『税理士が提案できる家族信託 検討・設計・運営の基礎実務』(税務経理協会)より抜粋・再編集したものです。

[PR] 特別セミナー開催(LIVE配信)
[12/8]企業オーナー・富裕層のための「民事信託」の具体的活用術

連れ合いを亡くした人が、再婚するケースも増えてきた

家族信託は、家族内での財産の引継ぎにおける以下のような場面で活用されています。

 

 自分自身が高齢となり不動産の管理が難しくなったので、管理を任せたい。

 自分が認知症などの理由で自らの意思の行使で財産の管理ができないようになったら不動産の管理をする人がいなくなる。

 自分が亡くなった後、妻は不動産の管理ができないため、今から管理を誰かに任せたい。

 子どもが浪費家であったり病気等の理由で財産管理が難しい。自分が亡くなった後に子供の生活が心配なので財産を誰かに任せたい。

 ある特定の財産を、相続人の長男に渡して守ってもらいたい。

 不動産の相続で、相続人が共有することを防ぎたい。

 代々承継してきた財産を、血のつながった親族に承継させたい。

 高齢となり株式を持っていても、議決権の行使ができなくなると会社が動かなくなる。

 後継者に株式を渡したいが、まだ若いのでもうしばらくの間、議決権は自身でもっていたい。

 血のつながった親族で株式を承継していきたい。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

後妻の生活を守りたいが、不動産は実子に引き継ぎたい

高齢化が進むにしたがって、残された夫が再婚することが多くなってきています。夫にとって気になるのは再婚した妻の生活の安定です。それでも前妻に子どもがいるときには不動産は子へと引き継ぎたいという希望が残ります。家族信託はこのような家族の財産承継に役立つ制度です。

 

【1】家族構成 

 


○相談者は父。

○数年前に前妻を病気で亡くしているがその後に再婚をした。

○長男家族は父と別に住まいを持って生活をしている。

○相談者は前妻の親族との交流はあまりない。

○長女とはあまり会うことはないが、長男とは孫も一緒に交流がある。

○相談者は後妻の今後、特に自分に相続があった後の後妻の生活を心配している。

○後妻に相続があった後は不動産が後妻の親族にいくのではなく、長男に引き継いで欲しい。

 

【2】父の財産内容 

 

(1)資産

①不動産:自宅(築25年)約5,000万円

     賃貸マンションA物件(築10年)相続税評価額1億円

     賃貸マンションB物件(築5年)相続税評価額3億円

②預金 :銀行預金8,000万円

③その他:生命保険金 終身保険3,000万円

 

(2)債務

銀行借入金1億円(10年後に完済予定)

 

【3】相談内容 


相談者は、5年前に再婚しました。高齢になってからの再婚で、後妻が相談者よりも10歳も年下のため自身の相続における財産の分割について懸念があります。

 

妻が老後の生活に困らない程度の財産を残してあげたいのですが、自分にいつ相続が起こるのか、そしてその後に妻が何歳まで生きるのか計算もできないため、どのくらいの金銭を残したらよいのか不安です。

 

自分の死後に前妻の子どもたちと後妻の間がどのような関係になるのか、ずっと安心して暮らしていけるのかを懸念しています。そこで、賃貸マンションの収入は妻が生存中は生活資金として取得して欲しいと考えています。ただ、所有している不動産については後妻亡き後は自分の子どもたちに引き継いでほしいと希望しています。

 

顧問税理士に相談したところ、家族信託を活用すれば、妻が生きている間必要とされる資金を給付する仕組みを作ることができ、また不動産も先妻の子に引き継ぐことができるのではないかという助言がありました。

 

[PR] 特別セミナー開催(LIVE配信)
[12/8]企業オーナー・富裕層のための「民事信託」の具体的活用術

 

一般社団法人民事信託活用支援機構 理事
株式会社継志舎 代表取締役 

外資系生命保険会社、日系証券会社、外資系金融機関、信託会社を経て、本機構の立ち上げに参画。金融機関での経験を活かし、企業オーナー等の資産承継対策の信託実務を取り組む。会計事務所と連携した企業オーナーや資産家への金融サービスの提供業務にも経験が豊富である。著書に『信託を活用した ケース別 相続・贈与・事業承継対策』(共著・日本法令)『「危ない」民事信託の見分け方』(共著・日本法令)がある。JP税務戦略研究会顧問。

株式会社継志舎
東京都中央区日本橋本町4-8-17 KN日本橋ビル204F
TEL:03(5542)1233
HP:http://keishisha.com/

著者紹介

税理士法人おおたか 代表社員 税理士・公認会計士

大手監査法人を経て、平成元年に成田公認会計士事務所、平成23年に税理士法人おおたかを設立。事業承継をはじめ、株式公開や公益法人サポートなど、手掛ける業務は幅広い。著書『事業承継・自社株対策の実践と手法』『新事業承継税制ハンドブック』『Q&A事業承継・自社株対策の実践と手法』等多数。JP税務戦略研究会顧問。

税理士法人おおたか
東京都中央区日本橋馬喰町1-1-2 ゼニットビル6F
TEL:03-5640-6450
HP:http://www.ootaka.or.jp/

著者紹介

連載認知症対策&資産承継の最適解がわかる「家族信託」活用術

税理士が提案できる家族信託 検討・設計・運営の基礎実務

税理士が提案できる家族信託 検討・設計・運営の基礎実務

成田 一正,石脇 俊司

税務経理協会

これまで長らく、税理士から「家族信託に興味はある」という声を聞いてきました。家族信託の提案ができれば、相続におけるプラン提案の幅が広がることは分かっていても、なかなかはじめの一歩を踏み出せない状況が今もなお続い…

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!