遺産相続は退職金に並ぶ人生の二大収入であり、大切な老後資金です。親が築いた大切な資産を守り受け継ぐのも、子どもに課せられた重要な使命なのです。本記事では、相続に詳しい税理士が、相続の基礎知識から具体的なノウハウまで、明快に解説します。※本記事は、WTパートナーズ株式会社代表取締役、WT税理士法人代表社員の板倉京氏の著書『知らないと大損する! 定年前後のお金の正解』(ダイヤモンド社)を一部抜粋・再編集したものです。

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相続対策の有無で、数千万円の違いが出ることも…

親からの遺産は、退職金と並ぶ老後の二大収入

 

うっかりすると忘れがちですが、親からの遺産は、退職金と並んで、大きな金額になる可能性のある、人生の二大収入。大切な老後資金のひとつです。

 

しかし、せっかく親御さんが築いてくれた遺産も、何の対策もしないままでは、思わぬ多額な相続税がかかってしまったり、遺産争いのモトになってしまうこともあります。相続でもめてしまうと、家族仲が悪くなるだけでなく、相続税が高くなってしまうことも……。失敗のない相続を迎えるためには事前の対策が必要なのです。

 

とはいえ「親と相続の話をしたいとは思っても、どう切り出していいかわからないし、気がひける」と感じている方はとても多いもの。そんな方にとって定年退職は、相続について親や親族と話し合いを持つよいきっかけになります。「退職を機に自分と親の老後のことを考えようと思うので、相続も含めて話し合いたい」と自然な感じで切り出してみてください。

 

ちなみに、「うちは資産家でもないし相続なんて関係ない」と思っている人もいるかもしれませんが、相続の困りごとに遺産の額は関係ありません。実際、家庭裁判所に申し立てをした相続トラブルの3割が「遺産額1000万円以下」という統計結果も出ています。ほとんどの人にとって相続は「他人事(ひとごと)」として、放っておいていい問題ではないのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

親に資産管理や相続対策の話を切り出すことを、後ろめたく思う必要はない

 

親御さんはすでに高齢でしょうから、親だけで、相続対策をするのは、無理があると思います。親が築いてくれた資産を守り、できるかぎり多くを受け継げるようにするのも、子どもの責任ですから、親に資産管理や相続対策の話を切り出すことを、後ろめたく思う必要は、全くないのです。特に、相続は、金額が大きくなる可能性もあるだけに、税金の額も大きくなります。対策をしておくのとおかないのとでは、数千万円の違いが出てくることも多々あります。

 

ぜひ、定年前後のこのタイミングで、相続について話し合い、万全の手を打っておいてください。またそろそろ、あなたから配偶者や子どもへの相続についても考えておきましょう。

 

 

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板倉 京

ダイヤモンド社

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