生前贈与の非課税枠利用で、毎年最大約60万円を節税
生前贈与は、気軽にできて効果の高い相続対策。
毎年110万円生前贈与でもらえば、相続でもらうよりも、年11万~60万円もトク。
テキトーな贈与は高くつくので注意!税務署にばれると重いペナルティが。
親御さんと相続について話し合った結果「資産がそこそこあって、相続税がかかりそうだ」ということがわかったら相続税対策を検討しましょう。
一番簡単にできて、すぐに始められる相続税対策は「生前贈与」です。人からタダでお金やモノをもらうと贈与税という税金がかかりますが、贈与税には、年間110万円の非課税枠があって、その範囲であれば税金がかかりません。
この非課税枠を使って、毎年コツコツ財産を移していけば財産が少なくなり、相続税が安くなるというのが「生前贈与」による相続税対策というわけです。
たとえば、相続財産が1億円ちょっとあって相続人が2人、という人であれば、相続税の税率はだいたい20%です。この場合110万円の財産を相続でもらうと、110万円×20%=22万円の相続税がかかります。
でも、同じ110万円を生前贈与でもらえば、非課税の範囲内ですから、贈与税はゼロ。税金を取られずに財産をもらうことができます。
つまり、年110万円ずつ生前贈与をすれば、22万円ずつ相続税を減らすことができるということ。相続税の税率は、10~55%ですから、年間11万円から最大60万円程度の節税が可能というわけです。あげる相手は、孫が特におすすめです。というのも、子どもや妻など相続で財産をもらう人への贈与のうち、亡くなった日からさかのぼって3年以内のものは相続税の計算対象にするという決まりがあるからです。
●生前贈与は手軽だが、間違うとキケン!
生前贈与は数ある相続税対策の中でも人気の対策です。人気の理由は、「あげたい人に財産を渡すだけ」という手軽さです。しかし、この手軽さゆえ、テキトーな贈与をしている人も少なくありません。節税のための生前贈与は、基本家族内でのお金のやりとりなので、「ちょっとくらいならバレないだろう」と、年間110万円を超える贈与をしていながら、贈与税の申告をしない。こういう人が意外にたくさんいるのです。でも、これはキケンな行為です。はっきり言って、税務署は甘くありません。仮に、贈与税の申告漏れがバレると、高いペナルティを払うことになりかねません。
たとえ、家族内でのお金のやりとりでも、110万円を超えたら贈与税の申告をするというルールは守りましょう。また、誰と誰の間にいくらの贈与があったのか、あとからでもわかるように、お金を贈与する時には、手渡しよりも、銀行口座間でやり取りをするなどの証拠を残しておきましょう。
板倉 京
WTパートナーズ株式会社 代表取締役
WT税理士法人 代表社員
税理士
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】