日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回みていくのは「労働時間」。都道府県別にみていくと、大きな地域差が生じていることがわかりました。

過労死の主な原因になる長時間労働

「過労死等の防止のための対策に関する大綱」で数値目標とされている1週間の就業時間が60時間以上の長時間労働者を年代別・性別にみていくと、男性30歳~40歳代で割合が高く、2019年は40歳代男性で13.0%、30歳代男性で12.8%となっています。

 

また仕事が主な原因で発症した心筋梗塞などの「心疾患」、脳梗塞などの「脳血管疾患」、ストレスが関係した「精神障害」は「業務上疾病」として認められています。この「業務上疾病」による過労死の補償状況についてみていきましょう。

 

2019年、「脳・心臓疾患」の労災請求件数は936件(前年度比59件増)、労災支給決定(認定)件数は216件(前年比22件減少、死亡86件)となっています。

 

年齢別に労災支給決定(認定)件数をみていくと、「50~59歳」91件(42.1%)、「40~49歳」67件(31.0%)、「60歳以上」42件(19.4%)の順に多くなっています。

 

さらに時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数は、評価基準1ヵ月の場合「120~140時間未満」33件、「100~120時間未満」17件、「160時間以上」9件の順に多く、評価期間が2~6ヵ月における1ヵ月平均の場合「80時間~100時間未満」73件、「60~80時間未満」23件、「100~120時間未満」22件の順になっています。

 

次に心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求件数をみていくと、2019年、2,060件(前年度比240件増)、労災支給決定(認定)件数は509件(前年比44件増加、未遂を含む自殺88件)となっています。 

 

年齢別に労災支給決定(認定)件数をみていくと、「40~49歳」170件(33.4%)、「30~39歳」132件(25.9%)、「20~29歳」116件(22.8%)の順に多くなっています。

 

出来事別にみていくと、「嫌がらせ、いじめ、暴行」79件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」68件、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」55件の順になっています。

 

時間外労働時間別(1ヵ月平均)の労災支給決定(認定)件数は、「20時間未満」が68件で最も多く、次に「100時間以上~120時間未満」63件となっています。

 

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