中国経済指標が示す感染収束の効果

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中国の10月の経済指標は全般に中国経済が回復軌道であることが示唆されます。鉱工業生産は市場予想を上回り生産活動は堅調です。小売売上高は市場予想には届きませんでしたが、それでも前月を上回っていること、他の小売関連指標には堅調な面も見られます。中国の成長の継続を想定していますが、勢いを鈍らせる可能性がある要因も見られます。

中国10月の主要経済統計:全般に中国の景気回復の継続を示唆する数字となった

中国国家統計局が16日発表した2020年10月の主な経済統計によると、鉱工業生産は前年同月比6.9%増と市場予想(6.7%増)を上回り、前月(6.9%増)に一致しました。小売売上高は前年同月比4.3%増と、市場予想(5.0%増)を下回りましたが、前月(3.3%増)を上回りました(図表1、2参照)。調査ベースの都市部失業率は5.3%でした。

 

1-10月の固定資産投資は前年同期比1.8%増と市場予想(1.6%増)、前月(0.8%増)を上回りました。

どこに注目すべきか:新型コロナ、マスク、飲食業、ワクチン開発

中国の10月の経済指標は全般に中国経済が回復軌道であることが示唆されます。鉱工業生産は市場予想を上回り生産活動は堅調です。小売売上高は市場予想には届きませんでしたが、それでも前月を上回っていること、他の小売関連指標には堅調な面も見られます。中国の成長の継続を想定していますが、勢いを鈍らせる可能性がある要因も見られます。

 

改めて、中国の経済が堅調な背景を振り返ります。

 

まず、あげられるのは中国が新型コロナウイルスの新規感染をほぼ完全に押さえ込んでいることです。中国(本土)の新規感染者数は7月を最後に100人を下回る水準で、最近は10人前後で推移しています。コロナ抑制は最大の経済対策といわれますが、中国経済指標にその一端が見られます。

 

たとえば、鉱工業生産を下支えする背景に堅調な輸出があげられます(図表1参照)。10月の中国の輸出の伸びは前年同月比11.4%増と前月(9.9%増)を上回りました。感染抑制に成功した中国にマスクなど感染予防製品や、在宅勤務関連商品(電子機器など)の需要が続いていたと見られます。生産を品目別に見ると、半導体回路(20.4%増)などが高い伸びを維持しています。

 

なお、建設投資も堅調なことから、鉱工業生産を品目別に見るとセメント、鉄鋼製品なども堅調です。

 

次に、小売売上高は市場予想こそ下回りましたが、回復の要因は明確であると見ています。たとえば、10月月初の国慶節では国内旅行が盛り上がりを見せましたが、その後コロナの感染拡大は見られません。また、11月の「独身の日」のオンラインセールは過去最高の取扱高となった模様で、消費意欲の高さがうかがえます。さらに、中国はコロナ抑制が早かったとはいえ飲食業については他国同様大打撃を受けていました。しかし、10月には前年比でプラスに転じています(図表2参照)。コロナ抑制の効果を物語るエピソードと言えそうです。

 

中国経済は生産、投資に比べ消費の回復が遅れていると見ていましたが小売売上や、失業率の低下など雇用市場の回復で21年の中国の成長率は8~9%の成長が想定されます。

 

ただ、回復シナリオは不変としても、勢いを抑える要因が2つ考えられます。ひとつは当局が不動産市場の上昇を懸念している模様で、抑制される可能性がある点です。もうひとつはワクチンの開発でコロナ特需が後退することです。先日ワクチン開発の進展期待で世界中の株が上昇した際、中国株式と人民元が一時軟調となる局面があったのは、コロナ抑制の先行者利益が減少するとの思惑と思われます。もっとも、あくまでスピード調整であり基本は中国経済の回復を見ています。

 

月次、期間:2015年10月~2020年10月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国の鉱工業生産と輸出の推移 月次、期間:2015年10月~2020年10月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

月次、期間:2015年10月~2020年10月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の小売売上高と飲食業の小売売上高の推移 月次、期間:2015年10月~2020年10月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国経済指標が示す感染収束の効果』を参照)。

 

(2020年11月17日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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