本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

大きかったコロナショックでの株式市場の下落

■世界の株式市場は、1970年代の長期停滞を脱してから大局的に見た上昇トレンドが続いています。2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマン危機等では株価が半値に下落する局面もありましたが、その都度、時間がかかりながらも反発して上昇トレンドに戻っています。これは、米国を中心とする先進国の政治や経済の安定、危機発生時での金融政策等の的確な対応、テクノロジーの飛躍的な発展、等が要因になっていると考えられます。

 

■但し、長期の上昇トレンドの中でも、株価が10%程度調整することは珍しくなく、数年おきに発生しています。特に今年のコロナショックを受けた株式市場の下落は、NYダウで一時30%を超え、大きい調整となりました。

株式市場の調整は数年おきに発生し、一定の備えが必要

■今年の株式市場の下落の要因は、新型コロナの感染拡大とそれを抑えるための経済活動の抑制です。株式市場の調整は、景気の減速や金融の引き締めによることが一般的ですが、政治や天災でのショックによっても下落することがあります。例えば、今年のコロナショックは、疾病の大流行が起因ですし、その他、2011年の米国の債務格下げ、2015年のチャイナショック、2018年の米中対立等は通常の景気サイクルではない要因による調整でした。

 

■なお、2000年以降、数年に1度は株式市場の調整が発生していますが、長期の上昇トレンドを崩すには至らず、短期間で株式市場は上昇に転じています。ポジションを大きく入れ替えて後の上昇を逃す可能性を考えると、短期的な調整に対して、ヘッジ的なポジションで備えることが賢明と言えそうです。

 

 (注)データは2002年6月23日~2020年11月13日。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
NYダウ工業株30種平均の2000年以降の代表的な下落局面(注)データは2002年6月23日~2020年11月13日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

<NYダウ工業株30種平均の2000年以降の代表的な下落局面>

●ITバブル崩壊:インターネット関連企業の実物投資や、同株式への行き過ぎた投資に対する反動と崩壊。

 

●リーマン・ショックと世界金融危機:米国大手銀行リーマンブラザーズ破綻をきっかけとした世界不況。金融システムを揺るがす問題となり、金融市場の動揺は翌年の春まで続いた。

 

●米国の債務格下げ:S&Pによる米国債の格付け引き下げ。「AAA」から1ノッチ引き下げて「AA+」とした。

 

●チャイナショック:短期的に急騰した中国本土株が15年6月をピークに急落。8月に中国人民銀行が人民元を対米ドルで切り下げ、自国通貨の切り下げによる経済の安定志向の可能性が懸念された。

 

●米中対立:アメリカ第一主義を掲げるトランプ大統領が最大の貿易赤字を計上している中国に対し追加関税を導入。交渉過程で金融市場の混乱を招いた。

 

●コロナショック:中国武漢を発端に、世界中に感染が拡大。犠牲者数は130万人を超えた(20年11月14日時点)。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『株式市場急落への備えは?』を参照)。

 

(2020年11月17日)

 

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