政策金利を4.25%に据え置き
■11月12日、メキシコ銀行(中央銀行)は金融政策決定会合を開催し、政策金利を据え置きました。市場では利下げが予想されていましたが、メキシコ銀行は、今回はインフレの軌道が目標に収束することを確認するために一旦利下げを休止した、と述べています。
■10月の消費者物価指数は、前年同月比+4.09%と、中央銀行の政策目標上限(4%)を3ヵ月連続で上回りました。中央銀行は、物価予想を引き上げたものの、1~2年先の予想インフレ率は3%程度との見方を維持しており、今後の金融政策は、インフレ率の動向如何としています。
景気回復の足取りは重い
■発表された9月の鉱工業生産は前月比0%と横ばいで市場予想を下回るなど、メキシコ経済の回復の足取りは重いままです。メキシコの米国製造業との結びつきは強く、米国景気の回復に伴い見通しは改善していますが、国内景気の低迷が産業全体を圧迫し続けています。
■弊社では、今年の実質GDP成長率見通しを▲9.3%、2021年は同+2.5%と予想しています。メキシコは財政を抑え気味に運営しており、2021年の見通しを市場予想に比べ慎重にみています。
メキシコペソは市場のリスク選好の動きを背景に上昇
■メキシコペソは5月以降、世界的な景気回復期待の高まりを背景に反発し、10月は対米ドルで約4%上昇しました。新型コロナの感染再拡大などからリスク回避的な動きが強まれば、上値が抑制されるとみられますが、世界経済は各国・地域の積極的な金融・財政政策によって緩やかに回復すると考えられ、メキシコペソは今後も底堅い推移が見込まれます。また、メキシコ国内の物価上昇率は緩やかに低下すると見込みます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『メキシコ、政策金利を予想外に据え置き』を参照)。
(2020年11月16日)
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