企業が抱える多くの「課題」を解決できる
企業出版の最大の目的は、企業が抱えるさまざまな課題を解決に導くことです。多くの経営者が「新規顧客開拓(集客強化)」「人材採用」「企業や商品・サービスの認知度アップ」「競合他社との差別化」といった、さまざまな経営課題に頭を悩ませています。こうした課題に対し、企業出版がどのように役立つのか、具体的に説明したいと思います。
今回は「集客・販促」について見ていきます。経営者からよく聞くのが、自社の製品やサービスについて、顧客や消費者に「見つけてもらう」のは比較的容易だが、そのあと「購入してもらう」ところまで結びつけるのが難しいという話です。
WebサイトでSEO対策を行えば、自社HPへの訪問数を増やすことはできます。また、リスティング広告等も広告費がかさみやすいというデメリットはありますが、即効性が期待できます。いずれにせよ時間とお金をかければ、自社HPまでは顧客や消費者を呼び込むことができます。
問題はそこから先で、実際に商品やサービスを選んでもらい、買ってもらうのは本当に難しい。これは多くの経営者の共通意見であり、特にコロナ禍のいまは、厳しさが増しているといいます。コロナ前は問い合わせのあった顧客のもとへ営業マンが足を運んで説明できましたが、現在は対面での営業が困難になりました。結果、クロージングまでもっていくことが難しくなってしまったのです。
そこで、これまで以上に求められるのが、クロージングのための営業マンに代わる新しい何かです。その何かになり得る有力な方法の一つが企業出版なのです。
企業出版では、企業がメッセージを届けたい相手、すなわち潜在顧客となるターゲットの読者層を絞り込んだ上で、ピンポイントで情報を提供するように書籍を作っていきます。その情報とは読者が抱える悩みや課題に対する解決策、ソリューションです。書店で書籍を手にした読者は、自分が求めている解決策が示されているがゆえにその書籍を購入します。そして読み進めるうちに、「このノウハウはスゴい!」「すばらしいアイデアだ!」と感動し、著者の企業にアプローチせざるを得ない、というところまで追い込まれていきます。
読者が「顧客」になる確率がズバ抜けて高いワケ
たとえば、相続対策を例に考えてみましょう。ひと口に相続対策といっても、相続税の軽減などの税金対策や、親族間での遺産トラブルを回避するための対策、相続後の納税に困らないための対策など、さまざまなテーマがあります。私たちが相続対策の本を手がける場合、『相続対策丸ごとハンドブック』のような書籍は作りません。
ハウツー本としてはそのほうが売れる可能性もありますが、その書籍から著者(弁護士、税理士など)への問い合わせが発生するかというと、それはほとんど期待できないからです。読者は相続問題に関する知識がいろいろ得られて勉強になった、よかったな、ということで終わりです。
私たちは、「生前の相続対策」や「節税に効果抜群」などいくつかのキーワードに基づき、それに関心の高い人だけに買ってもらう1冊に仕上げていきます。何かしらの課題を抱えている読者からすると「待ってました!」という内容で打ち出します。「これは私のための本だ」「解決すべきことの解が明確に書いてある」と認識してもらい、買ってもらうのです。
書籍の内容も読者の共感を呼ぶように工夫します。具体事例を多数紹介することで、自分の課題と同じ事例に必ずあたるようになっています。そして、その読者の抱える問題はどういう専門家であれば解決できるのかが記されています。
要は専門家選びのポイントですが、そこには偽りなく一般論として書きつつ、実は著者の企業の特長や強みがしっかり記されていて、読者が書籍を読み進め、自分なりに調べれば調べるほど、自分の悩みを解決してくれるのは、その書籍の著者の企業になるという仕掛けになっています。だからパイ(読者)はある程度限られていても、1件の顧客になり得る確率がズバ抜けて高いのです。
「集客・販促」について別の観点からも見てみましょう。前回、企業出版で成功例が多いのは、大きく6つの業界(「不動産」「金融・投資」「士業」「医療・介護」「教育」「BtoB」)になると述べました。これらは企業出版の効果が最大限に期待できる分野ともいえます。
この6つの業界にはいくつかの共通点があります。一つは、いずれも高額商品を扱い、かつレッドオーシャンの市場で、し烈な競争を繰り広げていることです。
次に、高額商品であるがゆえに、消費者や顧客に対する説明責任が一般的な商品に比べて厳しく求められることです。対応を誤ると消費者や顧客との間で大きなトラブルに発展する可能性があるので、特に営業では注意が必要で、慎重を期さなければなりません。
また、営業が属人的になりやすいことが挙げられます。扱うのが高額商品のため、顧客や消費者と1対1で向き合ってじっくり話をする必要があります。企業出版で書籍を作る企業の約95%は中小・零細企業で、個人経営者も多くいらっしゃいますが、こうした企業の場合、社長1人で営業をしていたり、一握りの優秀な営業マンに依存しているケースが少なくありません。
さらに、これらの業界ではよくセミナーを開催しますが、講師も営業マンも日によってコンディションが違うため、常に100%の状態で契約に結び付く説明ができるとは限りません。
経営者の理念や考えを可視化し、読者に伝えられる
これらの問題に対し、書籍は非常に有効です。商品やサービスの内容が詳しく書かれているので、顧客(読者)に誤解を与える可能性は極めて低くなります。営業マンの能力やコンディションに左右されることもなく、常に100%の状態で自社の商品やサービス内容を正確に伝えることができます。だからこそ、書籍は最強の営業ツールにもなり得るのです。
一方で、消費者や購買者の側から見るとどうでしょうか。この6分野の商品やサービスは、その違いが素人にはわかりにくいという共通点があります。弁護士事務所にせよクリニックにせよ学習塾にせよ、その数はたくさんあります。どこがベストなのかを選ぶのは至難の業です。判断材料が乏しいためです。
それは企業側も同様で、自社の特性や優位性、オリジナリティを伝えることに苦労しています。立派なホームページを作って、商品やサービスの説明はできても、それだけでは訴求力としては弱い。その商品やサービスの背後には、必ず経営理念や経営者の思想、信条などのバックボーンがあるはずで、それを伝えたいと思っても、そうした目に見えないものを可視化するのは非常に困難です。
その点で書籍は、自社の商品やサービス、スキームに加え、そのバックボーンを伝えるのにも優れた力を発揮します。1冊の中に8万~10万字の凝縮されたコンテンツが詰まっているからです。
問題や悩みや課題を抱えた読者は、書店でそうした書籍と出合い、前述したように本を読めば読むほど、自分の問題解決の手段として、その著者の企業、商品やサービスにたどり着く仕組みになっているのです。