わが子を、賢く、自主性のある人間へと育てるには「子育ての予習」が重要です。親自身があらかじめ成長過程を学んでおくことで、適切な時期に最適な教育を施すことができます。そこでおすすめするのが「モンテッソーリ教育」。同教育本には、適時教育に欠かせない「敏感期」という概念があり、家庭における子育てにおいても非常に役立つ知識が満載なのです。※本連載は、NPO法人横浜子育て勉強会理事長 ・藤崎達宏氏の著書『3~6歳までの実践版 モンテッソーリ教育で自信とやる気を伸ばす!』(三笠書房)より一部を抜粋、再編集したものです。

モンテッソーリ教師が子どもを「ほめない」理由

私どもモンテッソーリ教師は「ほめる」という行為をしません。なぜならば、敏感期にある子どもは、自分の意志で、今自分の成長に必要な活動を選択して集中しているわけです。人に見せるためでも、先生や親にほめられたいから活動しているわけでもないのです。ですから、むやみにほめることは子どもに対して失礼だと考えるのです。しかし、「認める」ことは積極的にします。「あなたが一人で最後まで頑張ったことを、私はしっかり見ていましたよ」「あなたがしたことで、まわりの人がたすかりました。ありがとう」と、言葉や態度でしっかりと伝えます。

 

大人から見て望ましい活動をとった時に過剰にほめることで、また次も同じ行動をさせようとする。これを「おだてる」と言います。おだてられた子どもは、大人が見ていないところでは活動をしなくなってしまうのです。

 

あるモンテッソーリ園を見学した時のことです。40名近い異年齢が混ざる縦割りのクラスを、ベテランの担任の先生がたった一人で受け持っていました。

 

先生はクラスの真ん中に座っていて、子どもたちは自主的に様々な活動を選び、集中しています。それぞれ活動が一区切りすると先生に見せにきます。すると先生はほめることなく、満面の笑みで「良かったね」と声をかけます。子どもは満足そうな表情でまた活動に戻って行くのです。

 

教師と生徒という立場を超え、同じ人間として敬意を持ち、まるで親友に話すように「あなたがしたいことが最後までできて、本当に良かったね」と伝えているのです。私はなんと、高い精神性の関係なのかと深く感動しました。

 

<ポイント>

●親のほめ方・叱り方もバージョンアップする必要がある

●自分の考えを伝えることが大切な年齢

●敏感期を理解することで、叱らなくても良い環境を考える

●ほめるよりも、認める、お礼を伝える

 

次項では具体的な「子どもをダメにする子育ての禁句」を紹介していきます。

わが子の将来に悪影響…つい言いがちな「口癖」10選

叱ることは親にとってもエネルギーを消費するものです。しかも、効果がない、逆効果ということも多々あります。不用意に繰り返す口癖が、わが子の将来を大きく左右することもあります。私ども親がつい口に出してしまいがちな口癖を列挙してみました。親子関係のバージョンアップにお役立てください。

 

1. 「ダメでしょ!」

 

子どもは禁止されている事実は理解しますが、じゃあ、どうすれば良いのかはわからないので実質的な効果がありません。

 

「椅子の上に立ってはダメでしょ!」と叱られても、どうすれば良いのかわかりません。なので、「お尻をここにしっかりつけて、座ろうね!」と具体的な行動を言葉で伝えます。

 

2. 「ちゃんとしなさい」

 

これも同じ。そもそも、ちゃんとしたやり方がわからないので効果がありません。

 

ちゃんとしたやり方を、親がその場でやって見せる。特に難しいところは、ゆっくり、何回もして見せるようにします。

 

3.「早くしなさい」

 

そもそも、子ども側には急ぐ理由がありません。理由をしっかり伝え、助けてほしいので協力してほしいと伝えることも時には必要です。また、4歳以降は、競争が好きな年代なので、ストップウォッチ、キッチンタイマーなどで、時間的な目標を持たせるなどの工夫も必要です。

 

4. 「何度言ったらわかるの?」

 

何度も、ということは、何かしら原因があるものです。よく観察して、原因を突き止めます。言ってもわからないことは、見本を見せてあげることで解決していきます。

 

5. 「やっぱり、またやった!」「言わんこっちゃない」

 

4. と同じで、何回か繰り返すということは、問題を起こす予兆があるはず。過去にどんな状況でその行動をしたか分析してみると、解決のヒントがあります。物理的に無理な原因がある場合は、環境を見直してください。

 

6. 「代わりにやってあげる」代行

 

親切に聞こえますが、「どうせ、あなたにはできないから」「私がやってしまったほうが早く終わるから」という深層心理からきています。「代行」を繰り返すと、親の指示がないと何もできない指示待ちの子どもに育つので、要注意のひと言!

 

7. 「お母さんが言った通りでしょ!」「お父さんの言う通りにしてごらん!」

 

子ども自身の可能性を潜在的に信じていないひと言。子どもがせっかく一人でできても、このひと言で「やっぱりママ、パパがいないと僕は何もできないんだ」という自己肯定感の芽をそぐひと言。この依存関係は思春期まで続くので要注意です。

 

8. 「どうしたらいいかなぁ?」

 

一見、子どもの自主性を促しているように聞こえますが、大人側が期待する正解を持っていて、それを言うことを期待しているケースがほとんどです。これでは、正解の強制であって、自主性は育まれません。

 

9. 「お姉ちゃんはこんなふうじゃなかったのに」「クラスのB君はこうなのに」比較

 

比較でコントロールする子育ては百害あって一利なし。比較して叱られた子どもは劣等感を、比較して褒められた子どもは蔑さげすみの心を宿すことになります。

 

特に、兄弟姉妹間の関係は一生涯続き、その傷も一生涯残りますので要注意です。「比較して子育てはしない!」と親が心に刻む必要があります。

 

「お父さんの時はこんなだった!」という昔の自分との比較も問題です。

 

記憶というものは曖昧なので、自分に都合の良い方向に書き換えられていることが多いものです。

 

思春期において、エリート意識の高い父親との深い溝を作るのはこのケースが多いものです。子どもはあなたのコピーではなく、自分の人生を今、生きているのです。

 

10. やっぱり遺伝だわ!

 

大人自身が納得しやすいので、遺伝ですべてを解決しようとします。遺伝ですべてを解決されてしまったら、子どもが自ら成長する意味がなくなってしまいます。不用意に繰り返して耳にしていくと、子どもも「どうせ遺伝だからしょうがないんだ!」というプログラムができ上がってしまいます。祖父母も言いがちなひと言なので要注意です。

 

※モンテッソーリは医師でありながら、膨大な文献の中に「遺伝」という言葉が1回も出てきません。

 

「子どもはすべてのことができるように生まれてくるのです。もし、できないことがあるとすれば、物理的に不可能な環境にあるか、どうすればいいのか、やり方がわからないだけなのです」

 

その、基本的な考え方を、最後まで貫いたのだと思います。

 

 

藤崎 達宏

サロン・ド・バンビーノ 代表

日本モンテッソーリ教育研究所認定教師(0~3歳)

国際モンテッソーリ教育協会認定教師(3~6歳)

 

 

 

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