本記事は田脇宗城氏の著作『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から一部を抜粋、再編集したものです。

土地の情報は「売買を得意とする不動産会社」に流れる

東京圏の中でも、より費用対効果の高い土地を手に入れる方法を解説していきましょう。まずは、そもそも土地の売却は一般的にどのような流れになっているか、から説明します。

 

皆さんが土地を売ろうと考えたら、最初にどこへ相談しますか? 多くは駅前などにある大手不動産会社ではないでしょうか。特にテレビコマーシャルで名前がよく知られている財閥系の会社が人気のようです。

 

しかし、このような会社では、土地の売却依頼が来ても自社で買い取ることはほとんどしません。とにかく右から左のスピード重視で、仲介手数料を得るために買い取り先を探すのです。

 

しかも、その買い取り先候補は、皆さんのようなエンドユーザーではありません。何よりもスピード重視なので、ローンが通るかどうか分からない素人ではなく、現金で買い取ってくれる、またはすでに事業資金としてローンが通ることがほぼ確定している業者、つまり土地の売買を得意とする不動産会社へ話を持っていくのです。

 

土地の売買を得意としている不動産会社へ話は流れる。 (画像はイメージです/PIXTA)
土地の売買を得意としている不動産会社へ話は流れる。
(画像はイメージです/PIXTA)

 

格安な土地情報が、一般に出回ってこないという理由はここにあります。土地情報は不動産ポータルサイトのほかにも、不動産業者のみが閲覧できるネットワーク「レインズ」などがあります。しかし、物件売却の仲介依頼を受けた業者は、これらで情報公開する前に、まずこのようなつながりのある不動産会社に情報を流すのです。

 

遺産相続などでは、売主としては土地をすぐに現金化したいことが多いものです。いつでもいいから誰か土地を買って下さい、ということはほとんどありません。ですから土地売買には、すぐに動けて資金力のある専門の不動産屋に話がいき、その他の不動産会社は仲介料を売主からも買主からも受け取る「両手」を狙うことになります。

 

そのため、情報をもらう業者になるためには、自社で物件を買い取って直接仲介料を支払うことになります。また、まれに建築業者には一般の買主を探してきて、仲介手数料を受け取らず、そのまま渡すことがあります。このような業者にも、さまざまな土地売買の情報が集中します。こうした建築業者は仲介手数料ではなく、建物の利益を見込んで行うケースが多いようです。

土地の問題解決から「商品化」までが不動産業者の役割

買い取りをする業者の目的の多くは、転売です。プロ同士の土地売買には、さまざまなリスク要因が潜んでいます。土壌汚染があったり、地中に廃棄物がある場合もあります。もちろん買い取った土地は、境界線の確定や古家の解体などを行い、更地にして問題がないことの確認や、場合によっては修復をします。そうやって一般市場でも売れるようにきちんと「商品化」してから利益を乗せ転売、または建売り住宅を建てて売却するのです。

 

一般の人に直接土地情報が流れない理由はこうした点にもあります。このような過程を経ないと、素人が問題のある土地をつかんでしまう可能性が高まってしまうでしょう。

 

相続関係の場合は、紹介を受けた買取り業者が親族間の中に入って意見を聞き、交通整理をするケースもあります。複雑な権利関係の調整や、ハードな交渉が必要になります。最初に売主から相談を受けた大手不動産会社が、自社で買い取りをしないのは、このような業務に長けていない、ということも理由のひとつです。皆さんが目にする土地情報の多くは、こうした過程を経た後の土地となります。

1年近く売れ残った土地が「投げ売り」されやすい理由

先ほど述べたように土地の情報は、まず一般の人には回ってきません。しかし、一般に情報公開された物件の中にも、掘り出し物はあります。もちろんこれを手に入れるのは容易ではありませんが、しかしこれは狙い目です。

 

筆者の場合は、まず「相場よりも割高なアパート向き、しかも売主が業者の土地」をレインズなどで見つけます。このような土地は割高ゆえになかなか売れません。3か月、半年とじっとウォッチし続けます。すると1年近く経ったときに、突然大幅値引きをすることがあるのです。

 

理由は借りたお金を返さなければならないからです。業者の中には、土地を買い取る資金を銀行からのPJ(プロジェクト)資金で賄うケースが多々あります。その返済期限の多くが1年なのです。そのため販売開始から1年近く売れ残った物件は、投げ売りをされる可能性が高いのです。また、この投げ売りを待つことなく、1年近く経った物件に対し、「この価格なら買う」と指値を入れる方法も大変有効です。

 

ただしこうした物件を手に入れるには、非常に時間がかかります。ですから筆者は、このような物件の情報を時期をずらして常に百件以上ストックして、欲しい時に良い物件がすぐに手に入るようにしています。

土地の現金化は「建売住宅」にするのが最速

ここまで解説してきたように、誰もが欲しがるような土地の情報を素人が手に入れるのは非常に困難です。そのためより多くの情報を得るには、広いネットワークを持った不動産業者を見つけることが必要です。ところが、土地情報の集まる不動産業者=アパート経営に向いた土地情報を持っている、とは限りません。

 

そもそも「駅前」で「閑静な住宅地」といった誰でも欲しがる土地は高額です。相場通りの価格で買ってしまえば、アパート経営で利益を出すことができません。アパート経営の勝ち組になるには、入居者募集に苦労しない人気の土地なのに利益が出る、つまり土地情報の集まる不動産業者の中でも、特にアパートに向いた掘り出し物の土地情報を持つ業者をパートナーにすることが必須なのです。

 

では、アパートに向いた掘り出し物の土地とは、どのような土地でしょうか。前述のように一般的な住宅地が売りに出される場合、その情報の多くは限られた不動産会社間で留まることになります。ここでその土地が「駅前」で「閑静な住宅地」といった条件の整った物件だった場合、多くは建売専門会社へ転売、またはその不動産会社自身が建売住宅を建築して販売することになります。

 

そのわけは最速で現金化できるから。仮に注文住宅用(アパート用も含む)として更地で売りに出してしまうと、そもそも注文住宅を建てる人はお金持ちなので、母数が少なくなかなか売れません。さらにそのような人は、間取りの計画などをしてから契約をしたがり、現金化するまでに時間がかかります。

 

一方で建売住宅を求めている人は、注文住宅を希望する人よりはるかに多く、人気のエリアであれば、完成前に売れてしまうのが当たり前になっています。特に2000年代に入って地価が落ち着いてからは、人気エリアの建売住宅が飛ぶように売れています。

 

バブル期の30代、40代は地価高騰で遠距離通勤を強いられました。しかし、2000年代以降の30代、40代、つまりはじめて家を買う層(一次取得者層)は、かつて高嶺の花だった好立地に家が持てるようになり、現在まで都心回帰傾向が続いています。とはいえ、好立地に加えて注文住宅までは予算的に無理。とても買えません。そこで近頃は、バブル期に1億円以上したような高級住宅地に、建売住宅が目立つようになってきたのです。

 

建売専門会社が狙う土地は、「通勤圏内」で「駅近」で「閑静な住宅地」。まさにアパートを建てるならベストな立地条件です。そんな競争率の高い物件を格安で買えれば、それこそ掘り出し物といえるでしょう。

 

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    本連載は、2014年11月27日刊行の書籍『サラリーマンが30代から「アパート経営」で年収を300万円以上増やす方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    田脇 宗城

    幻冬舎メディアコンサルティング

    広がる格差、上がらない給与、将来に備えた生命保険や家のローンに子どもの教育費・・・。働けど働けど出費は増える一方なうえに、将来に対するお金の不安も拭えないという30代のサラリーマンは多いでしょう。 年収がプラス30…

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