いつの時代も「芸能人の不倫」は世間を騒がせるものです。「不倫は許せるものではない」という考えを持つ人は少なくありませんが、不倫の被害者であるはずの「配偶者の謝罪」や、社会的制裁などは本当に必要なものなのでしょうか。世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が解説します。

不倫は「社会的制裁」を受けるべきものなのか

不倫は本来配偶者に対する民事上の不法行為であって、犯罪行為とは異なります。ですから、不倫をされて傷ついた配偶者を慰謝(いしゃ)する必要はあるのですが、どこまで社会的な制裁を受けるべきなのかは、社会通念によってその評価は異なりうるでしょう。

 

欧米などでは不倫をしたところで政治家や有名人としての地位を全く落とさない人もいますね。では、不倫はどこまで社会的な制裁を受けるべきなのでしょうか。

 

勤務先での処遇についても、不倫があったというだけでただちに解雇相当となるものではありません。不倫を原因として有名人が広告契約が打ち切りになったり、番組を降板する場合もありますが、あれはあくまで契約自由の中で、企業側がイメージダウンを避けるために起きていることです。

 

不倫はあくまで婚姻関係を危機にさらして精神的不安を与えたことについての配偶者に対する責任です。その責任が果たされるべきなことは当然ながら、それにとどまらず、社会的な制裁や、まして本来被害者である配偶者の謝罪を促すような風潮があるとしたら、それは改めていくことが望ましいものなのではないかと、私は思います。

 

 

水谷 江利

世田谷用賀法律事務所 弁護士

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本連載は、「世田谷用賀法律事務所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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