大型スーパーの出店により客を奪われ…
工場・倉庫投資の手法としては、物件を新規に購入するやり方と、もともと持っていた物件を上手に運用して、収益の改善を図るやり方の2種類があります。
これから紹介するGさんのケースは、後者の成功例になります。
Gさんは、長年、文房具屋を経営していました。さらに、親が神奈川県川崎市に所有していた1000坪の倉庫を相続したことから、そこに肉屋や魚屋、薬屋などの店舗を呼び集めて、複合型ショッピングセンターの運営も始めました。
当初、ショッピングセンターの経営は順調で、最も繁盛していた時期には、テレビの子ども向け人気番組のキャラクター・ショーを行うなど、派手な集客イベントに費用をかける余裕もありました。しかし、近所に大型スーパーが出店すると、客を奪われ始め、急速に売り上げを落としていきました。
ショッピングセンターの装いを一新して客足を回復しようと、銀行から多額の借金をして大規模な修繕を行ったものの、期待していたような結果は得られず、売り上げの低下に歯止めをかけることはできませんでした。やがて銀行への毎月の返済も苦しくなり始め、Gさんは、ついには税金も支払えない状況に陥ってしまったのです。
「このままでは座して死を待つばかりだ…」
追い詰められたGさんは、モールの経営をやめて、倉庫を売却することを決断しました。しかし、倉庫の上には高圧線が走っていたために、マンションデベロッパーの買い取りは期待できませんでした。また、戸建て専門のハウスメーカーに打診しても、「安い価格なら買ってもよいが」と色よい返事は得られませんでした。
月250万円の賃料収入で悠々自適の生活
八方ふさがりの状態に陥ったGさんの相談を受けて、当社は、事業用借地の形で借りてくれるテナントを見付けることを提案しました。
倉庫はロードサイドにあり、敷地も1000坪と広かったことから、「大型店舗が名乗りを挙げるはず」との確信があったからです。
その後の成り行きは、想定していた以上の形で進みました。大手パチンコチェーンが借主となることが決まり、しかもありがたいことに、「Gさんの借金を全て肩代わりしてもよい。その代わりに地代を少し安くしてほしい」と申し出てくれたのです。
現在、Gさんは毎月250万円の賃料収入を得ています。テナントに肩代わりしてもらった借金の分は天引きされていますが、それを差し引いても100万円が残ります(あと10年ほどたてば借金分は全てなくなる予定です)。
このようにGさんは、今では生活するのに十分過ぎるほどの収入を得ており、もはや汗水流して働く必要のない境遇なのですが、文房具屋は趣味で続けています。昨年の夏場にお会いしたところ、
「エアコンはいいね。昔はおカネが心配で、エアコンをつけるどころじゃなかったからなあ」
と頰をゆるませながら、感慨深げにおっしゃっていたのが印象的でした。