「ボロ工場」「死にかけ倉庫」が人気を集める信じられない理由

本記事は、2016年7月27日刊行の書籍『「工場・倉庫」投資のススメ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「土地代のみ」での購入が、工場・倉庫投資の極意

工場・倉庫では一にも二にも「空間」が、すなわちどれだけたくさんのスペースを確保できるかが重要なポイントとなります。建物の見栄えは二の次なので、どんなに古くても、また"オンボロ"であっても全く問題ありません。それこそ廃虚のような状態であっても構わないのです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

むしろ、建物は古ければ古いほど、ボロければボロいほど安く購入できるので、投資する側からすれば「歓迎すべきこと」といえるかもしれません。

 

築15年もたてば上物の価値はゼロになりますし、しかもそのような工場・倉庫は、市場にゴロゴロと転がっています。建物代はゼロ円で、つまりは土地の代金だけで購入するのが工場・倉庫投資の極意と言ってもよいでしょう。

賃貸マンションと比較すると優位性は明らか

一方、マンション投資では、「土地代だけでオッケー」ということは基本的にあり得ません。建物の築年数がどんなに古くなっても、賃貸マンションの市場価格は、収益還元法によって計算されるので、賃料収入がある限りは一定の価値が必ず認められるためです。

 

[図表]収益還元法

 

このように、工場・倉庫は「ボロボロでも問題ない」「むしろ購入価格が安くなる」ことも大きな魅力なのです。

「起臥寝食の場」として使用されない点が強み

マンションでは、部屋に日の光がよく入ることが大きなアピールポイントとなりますが、工場・倉庫では日当たりの善し悪しは全く関係ありません。

 

むしろ、保管用の倉庫として使う場合には、あえて全ての窓をふさぐケースもあるほどです。居住物件のように、借主が「南向きでなければダメだ」「北向きは絶対にいやだ」などとこだわりを示すようなことはほとんどありません。

 

さらに、起臥寝食の場として使用されるわけではないため、マンションやアパートほどは地震への不安を抱かれることはありません。

自然環境や災害による「心理的な影響」も受けにくい

ちなみに、2011年3月の東日本大震災直後、マンションに関しては震災に起因する解約が数多く発生しました。

 

たとえば、リーシング・マネジメント・コンサルティング社は都心部を中心とした賃貸マンションの仲介店舗を対象に、2011年に「震災が原因と考えられる解約は発生しましたか?」というアンケート調査を行いました。

 

そこに示されているように、実に6割以上の回答者が、震災が原因となった解約があったことを認めています。

 

しかし、とある物件を例にすると、工場・倉庫に関してはほとんど解約がありませんでした。とりわけ震災の被害の大きかった湾岸エリアでも、住民が大騒ぎしていたマンションのケースとは異なり、目立った影響は見られませんでした。

 

このように、工場・倉庫は、マンションに比べて利用者が自然環境や災害による心理的な影響を受けにくい点も大きなメリットといえるでしょう。

 

[図表]東日本大震災と賃貸ニーズの関係

出典/リーシング・マネジメント・コンサルティング『東日本大震災後の都心賃貸マンション市場の動向』(2011年)
出典/リーシング・マネジメント・コンサルティング『東日本大震災後の都心賃貸マンション市場の動向』(2011年)

 

最後に、マンションと工場・倉庫の利回りを具体的に比較してみましょう。首都圏近郊の地方都市にある駅徒歩10分の大通りに面した立地で、マンションと倉庫に投資した場合を仮定してみます。

 

具体的な想定地の所在地、土地面積、用途地域、建ぺい率、容積率、近隣状況は以下の通りです。

 

●所在地 埼玉県戸田市(戸田駅徒歩10分、大通りに面している)

●土地面積 330平方メートル(約100坪)

●用途地域 準工業地域(居住用、事業用の利用が可能)

●建ぺい率 60%

●容積率 200%

●近隣状況 大型店舗やマンションが多くにぎやかな地域

 

このような条件の土地を所有していることを前提として、マンションもしくは倉庫を建てました。

 

倉庫は鉄骨造2階建てで広さは396平方メートルです。一方、マンションは鉄骨造3階建てで広さは595平方メートルになります。賃貸部分は22部屋(1部屋の広さは20.8平方メートル、延べ457.6平方メートル)で、共用スペースは137.4平方メートルです。

倉庫の利回りはマンションよりも「6%以上」高い⁉

そして、それぞれの①建築費用、②月額の想定賃料、③年額の想定賃料、④利回りは次のような形になります。

 

<マンション>

①建築費用 1億4280万円(24万円×595平方メートル)

②月額の想定賃料 110万円(22部屋×5万円<駅徒歩10分おおよその相場>)

③年額の想定賃料 1320万円(110万円×12カ月)

④利回り 9.2%(1320万円÷1億4280万円)

 

<倉庫>

①建築費用 4158万円(10.5万円×396平方メートル)

②月額の想定賃料 53万8560円(396平方メートル×1360円)

③年額の想定賃料 646万2720円(53万8560円×12カ月)

④利回り 15.5%(646万2720円÷4158万円)

 

このように、マンションに比べて建設費を3分の1以下に抑えられるため、倉庫のほうが実に6%以上も利回りが高くなります。

 

しかも、倉庫は賃料が基本的に経年劣化の影響を受けることがなく、維持費等のコストもほとんどかからないので、この15.5%の利回りは20年後も継続するはずです。一方、マンションは経年劣化の影響や設備交換、リフォーム代等の出費がかさんでいくので実質利回りはさらに下がるでしょう。

 

長期的な視点で見て、マンションよりも工場・倉庫に投資するほうが、はるかに安定した利回りを確保できることは間違いありません。

株式会社タープ不動産情報 代表取締役

1965年生まれ。アウトドアスポーツの企画運営に携わったのち、26歳で不動産事業に魅了され、1999年に株式会社タープ不動産情報を創業、代表取締役に就任。居住用から事業用まであらゆる不動産の仲介、取引、トラブル解決に従事し、独自のノウハウを構築した。現在は工場・倉庫など事業用物件を中心に、管理・顧問契約を600件以上取り扱っている。不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、相続対策専門士、IRIA国際不動産投資アドバイザー、賃貸不動産経営管理士、マンション管理業務主任者、文京区役所「不動産相談」相談員、東京都宅地建物取引業協会文京区支部常任理事。

著者紹介

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本連載は、2016年7月27日刊行の書籍『「工場・倉庫」投資のススメ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「工場・倉庫」投資のススメ

「工場・倉庫」投資のススメ

三浦 孝志

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化と人口減少により、空室率が上昇し続けているアパート・マンション。都心部の一等地にあるような立地条件のよい物件か、付加価値の高い築浅物件でもないかぎり、もはやアパート・マンション投資で儲けることはできません…

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