使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい
水回りとは、トイレ、キッチン、風呂場、洗面所を指します。水を使う場所は汚れを落とす場所でもあるので、油汚れも多く、どうしても汚くなりがちです。
また、水は一見、無害に見えますが、木材や鉄骨などの建材を腐らせる作用を持ちます。住宅にとって一番の大敵は水気なのです。もちろん、水気はパイプや塗料などによって建材からは遠ざけられていますが、長年使っていると、知らず知らずのうちに水はねや水漏れが重なって、しみをつくり、経年劣化を進めるものです。
使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい印象を見る人に与えます。水回りではありませんが、住宅と水の関係で最も注意しておきたいのが雨漏りです。雨漏りは、屋根や外壁のすき間から雨水が建物の内部に侵入することで起こります。水が入ってきたときに、中にいる人がすぐに気づけばよいのですが、なかなかそうはなりません。なぜなら、外壁と内壁との間には、天井裏などの空間があるからです。
さらに、そこに断熱材や防音材などが詰められているために、住宅内への雨水の侵入に気づけないのです。そのため、住人が室内への雨漏りに気づくころには、すでに天井裏にはかなりの水がたまっています。その水が天井にしみをつくり、柱を濡らし、ベニヤ板を波打たせてしまうのです。
雨漏りの厄介なところは、1回の修繕では完全に直せないところです。というのも、雨漏りは、前述のような理由ですぐに気づけないために、屋根や外壁のどこから雨水が入り込んでいるかの原因を特定することが難しく、直しても直りきらないことが多いからです。また、一部を直しても、他の箇所から雨が侵入することが多く、何度もの修繕を必要とします。
実際に、弊社の管理する物件では数カ月の間に、3回も雨漏りの苦情が出て、そのたびに工務店を手配しなければなりませんでした。住宅の水気は、建材の腐食ばかりでなく、シロアリを呼び込むこともあります。腐食もシロアリも、壁の裏側で進行するため、普通に生活していても気づかないことが多く、気づいたときにはもう手遅れになっていることが多いのです。
これらの経年劣化は、たとえ売り主が知らずに売却しても、売却後に発覚した場合、瑕疵担保責任として売り主の責任で修理する必要があるため、黙って売り抜けることはできません。また、知っている場合は修繕履歴を全て、新しい買い主に伝える義務があります。
ですから「ワケ」を隠すことは法律上も、道義的にもできないのです。それよりは、売却前に徹底的に検査と清掃をして、できるだけよい状態をお客様に見せるほうが、高額で売れる可能性が高まります。