豊臣秀吉の命令…「朝鮮出兵」を難なく逃れた家康の「言い訳」

※本連載は中学受験専門塾ジーニアス運営会社代表・松本亘正氏の著書『中学受験 「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 上巻(旧石器〜安土・桃山時代)』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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多くの大名が疲弊…秀吉の「成果なき」対外政策

全国統一を果たした秀吉(ひでよし)は、みん〔中国〕)を征服するという大いなる野望を持ちます。そして、朝鮮(ちょうせん)に協力を求めます。協力を求めると言っても、「俺の部下になれ」という強気な態度です。当然、朝鮮側は拒否します。そこで秀吉は朝鮮出兵を行います。

 

秀吉の朝鮮出兵

 

1592年文禄の役(ぶんろくのえき)1597年慶長の役(けいちょうのえき)の二度にわたって大軍を送り込みました。文禄の役では首都の漢城(かんじょう〔=現在のソウル〕)、平壌(ピョンヤン)をも占領しましたが、李舜臣(りしゅんしん)率いる朝鮮水軍に悩まされました。

 

そして、1598年豊臣秀吉が病気で亡くなったことを受けて、兵を引き上げました。この戦いは朝鮮の人々を傷つけたとともに、豊臣秀吉に仕えた大名(だいみょう)が多くの兵を失い、力を弱めるきっかけとなりました。そして、北条氏(ほうじょうし)の後に関東を支配し、朝鮮出兵に参加しなかった徳川家康(とくがわいえやす)が力を持つことになります。

「超ど田舎」に左遷された結果、朝鮮出兵を免れた家康

なぜ、家康は朝鮮出兵に加わらなかったのでしょうか。これには過去のいきさつが関係しています。まず1590年を思い出してください。ここで北条氏を滅ぼして、秀吉は天下統一を果たします。すると、秀吉は家康にこう言ったんですね。

 

「これから家康殿には、北条氏が治めていた関東地方に行ってがんばってもらいたい」

 

家康はこれまで、現在の静岡県を中心に5ヵ国を治めていました。それを関東に引っ越ししろというのです。しかも、まだ北条氏に仕えていた部下が隠れていて、戦いをしかけてくるかもしれません。

 

「イヤです。だいたい、江戸(えど)の町は荒れているそうじゃないですか。引っ越しなんかしませんよ」と、きっと言いたかったことでしょう。でも、ここで秀吉に逆らったらどうなるでしょう? こいつは命令を聞かなかったということで、滅ぼされてしまうかもしれません。

 

秀吉としても、これ以上家康が強くならないように、関東地方に追いやりたかったのです。そういう秀吉の狙いがわかっていた家康は、イヤな顔ひとつせず、「わかりました。関東でがんばります」と答えました。

 

家康は江戸の町に着いたとき、とても驚いたことでしょう。なんてったって、超ど田舎だったのです。「なんて土地だ…」とがっかりしたはずですが、そこはさすが家康。よし、じゃあ江戸を立派な町にしようじゃないかと意気込みます。

 

そして、1592年の朝鮮出兵。秀吉は家康にも兵を出すように言います。しかし、家康は次のように答えます。

 

「秀吉様のご命令通り、今関東でがんばっています。これからもがんばります!」

 

そう言われてしまうと、秀吉も強く言えませんね。自分が命令したことなのですから…。朝鮮出兵に参加しなかった家康は、力を蓄えていきました。

 

イラスト:遠藤庸子
秀吉に駿河から関東に追いやられた家康 イラスト:遠藤庸子

 

家康は厳しい人生をうまく乗り越えて、最後には天下を統一した…と言われていますが、本当のところはどうなんでしょうね。ひょっとすると、実際の江戸はそこまでひどくもなかったのに、家康が「大変だ! 大変だ!」と言うことで朝鮮出兵を逃れたのかもしれませんし、家康の時代になってから、開発を進めたすごい人と思わせるためにストーリーをつくったのかもしれません。

 

さて、朝鮮出兵の際、朝鮮から多くの陶工(陶磁器〔とうじき〕職人)が日本に連れて来られました。そして、大名たちが自分の領土で焼き物をつくらせたのです。これが、有田焼(ありたやき)や唐津焼(からつやき)、薩摩焼(さつまやき)や萩焼(はぎやき)のもとになっていると言われています。そのことから、秀吉の朝鮮出兵は「焼き物戦争」と呼ばれることがあります

 

朝鮮出兵の後に始まった焼き物

中学受験専門塾ジーニアス 運営会社代表 

慶應義塾大学在学中に中学受験専門塾ジーニアスを開校し、運営会社の代表に就任。現在は東京・神奈川の6地区に校舎がある。

ジーニアスはハイレベルな少人数制指導塾として、1学年200人強から開成、麻布などの御三家各校、筑波大附属駒場、慶應中等部、早稲田実業、渋谷教育学園渋谷、ラ・サールなど超難関校に例年合格者を多数輩出しており、募集時には毎年満席になる校舎もある。また、家庭教師のトライの映像授業「Try IT」の社会科を担当し、高校受験生からの支持も厚い。

おもな著書に『合格する算数の授業 図形編・数の性質編』『合格する地理の授業 47都道府県編・日本の産業編』(実務教育出版)があり、ほめて伸ばすだけをよしとしない、タイプ別に子どもへの対応方法を変えるなど独自の子育て論にも注目が集まっている。

著者紹介

連載難関中学合格率約60%・人気塾の授業を再現!ガツンとわかる「安土・桃山時代」

中学受験 「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 上巻(旧石器〜安土・桃山時代)

中学受験 「だから、そうなのか!」とガツンとわかる 合格する歴史の授業 上巻(旧石器〜安土・桃山時代)

松本 亘正

実務教育出版

難関中学合格率約60%の中学受験専門塾の合格授業を再現! 中学入試の社会・歴史(旧石器時代〜安土・桃山時代)のポイントが、心から理解できる一冊。 【本書の特徴】 ●イラスト&図解で楽しくスイスイ読める! ●自…

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