日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、家計に占める「教育費」についてみていきましょう。

高所得者は「教育にお金をかける」は本当か?

 

一般的に教育費は年収に関係するといわれていますが、どうなのでしょうか。教育費と年収との相関係数は、「+0.63」。強い相関関係にあるといえる水準です。

 

そこで実際に年収の差でどれほど教育費に差があるのかみていきます。前出の家計調査では、世帯年収376万円~1149万円以上を10に区分し、その教育費を算出しています。それによると、年収~376万円(世帯主平均52歳)の教育費は15,953円なのに対し、世帯年収1,000万円超えの1149万円以上では、2.5倍の40,904円となっています(図表4)

 

出所:総務省「家計調査年報」(2019)より作成
[図表4]年収別「教育費」 出所:総務省「家計調査年報」(2019)より作成

 

世帯年収と教育費、そして学歴には強い相関関係があり、教育費をかけると「教育にお金をかける→偏差値の高い学校に進学→年収が高い職につく→教育にお金をかける……」という良いスパイラルが生まれます。

 

その逆もしかり。富裕層はいつまでも富裕層、貧困層はいつまでも貧困層と、なかなか上へといくことができないという問題が生じるというわけです。「能力次第」という意見もありますが、確率論的に、負の流れを断ち切るためには、何としても年収をあげ、教育にお金をかける、ということが現実的でしょう。

 

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