日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、家計に占める「教育費」についてみていきましょう。

子ども一人当たりの教育費は、1,000万円を超える

 

来年3月、教育資金の一括贈与制度「教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」が終了予定です。これは親や祖父母から30歳未満の子や孫へ「教育資金」を非課税で贈与できる制度。受贈者(子や孫)1人につき、1,500万円まで(学習塾など学校以外への支払いは内500万円まで)が非課税限度額となります。

 

文部科学省は「高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子供の教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資するとともに、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に寄与することを期待するものである」と、制度の背景を説明しています。

 

教育資金は人生の3大支出の1つに数えられ、トータルのコストはなかなかのもので、多くの家庭で費用確保に苦慮するものです。子ども1人あたりの教育費の目安は、約1,000万円ともいわれています。しかしこれは幼稚園から大学までずっと国公立の学校に通わせた場合のトータル費用で、私立学校に通わせた場合はさらに高くなるのです。

 

たとえば幼稚園。国立幼稚園の場合の教育費は平均額は73万円*ほど。それに対して私立幼稚園はその4倍近くの282万円*になります。さらに義務教育となる小学校、中学校を私立に通わせたら、小学校では436万円*、中学校では414万円*ほどかかります。さらに高校では、国立で115万円*、私立は3倍強の399万円*です。

 

*文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」参照

 

大学への進学率は、2019年で58.1%。国立大学と私立大学の初年度納入金(2017年度)を比較してみると、国立大学の場合、入学料、授業料合わせて80万円強。それに対して私立大学は1.6倍ほどの平均133万円。さらに歯学部であれば400万円超、医学部であれば500万円超となります(図表1)。

 

出所:資料:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より作成
[図表1]大学の初年度納入金(2017年度/平成29年度) 出所:資料:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」「私立大学等の平成29年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より作成

 

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