「南向きアパート・マンション」の知られざるリスク
2 影の影響~高い建物は影の影響を検討する必要がある
アパートやマンションのプランも、住宅同様に朝日が入る位置から考えるのが設計の基本だ。ただし、建物の高さが10メートルを超えると太陽の光の影響を検討する必要が出てくるため、土地購入を検討する時に気に掛ける必要がある。特に、南向きの土地は北側の住宅地に影が落ちる影響が大きく苦情やクレームが出やすい。例えば4階建てのアパートを建てようと土地を買っても影の状態によっては階数を減らさなければいけないこともあり得る。
一方で、北向きの土地はどうか。アパートやマンションの前に道路があるので高さが10メートルぐらいであれば影は道路に落ち、苦情が出ることはない。高さもしっかり確保できるし、容積率を目いっぱい使える土地といえる。
ここでも土地を選ぶなら南向きの土地よりも北向きの方がいいといえることがわかるはずだ。土地の値段は南が高くて北が安い、銀行の評価も南が高いので、これらを総合すると、新築物件は北だが、完成物件を買うなら南がお勧めということが分かってもらえると思う。
■影と斜線制限
10メートル以上の物件を建てる時にもうひとつ考えておかなければいけないことがある。それは建物から落ちる「斜線」の検討だ。道路の幅員は4メートルより5メートル、道幅が5メートルあれば容積率を目いっぱい使えるということは前記した通りだが、幅員5メートルで3階建てのアパート・マンションは最上階の一部が制限に触れる可能性があるということを知っておいてほしい。
この場合、道幅が7メートルあれば斜線の影響をクリアできるので、道幅は「4メートルより5メートル」、さらに「5メートルより7メートル」というのが理想ということになる(図4・図5)。また、幅員4メートルでは2階建てでも高さ制限に触れる可能性があるので要注意だ。
斜線対策でアドバイスがあるとすれば、4、5階建てのアパートやマンションをつくる時は道幅が広い土地か、影の影響を及ぼさない少し道路から凹んだ土地を探すこと。道路が広ければ広いほど容積率を最大限使える。
結論からいうと、道幅は4.7メートル以上あれば理想だ。もしくは道幅が4メートルであっても土地代が安ければ、さらに値を叩いて買う。中古物件であれば規制に沿って土地を目いっぱい有効活用している可能性があるので「条件を逆手に取った良い物件」といえる。