月2000万円の収入でも「破滅寸前…」大家撃沈、酷すぎる末路

株式会社町田工務店代表取締役社長・町田泰次氏は不動産投資で20億円もの資産を築き上げた。なんだか胡散臭いイメージが付きまといがちな不動産投資だが、成功者と敗者を隔てたものは何か? 書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』(幻冬舎MC)にて同氏が語っている。

「あれも」「これも」手当たり次第はもう最悪

私は流儀一の中で「目標は高く掲げるが、それを越えてはいけない」と書いた。そこで私が強調したかったのは、目標を決めたらそこに向かって集中しろということだった。

 

不動産投資に興味をもつと、本を読んだり人の話をききかじったりして「あれも」「これも」と無計画に手を広げる人が少なくない。それではダメだ、ということがいいたかったのだ。

 

それと一見、矛盾するようだが、ここでは目標を達成したら次の目標にチャレンジだ、という点を強調したい。

 

「地道な作業」であることを理解していない人が多い。
「地道な作業」であることを理解していない人が多い。

 

あとで詳しく説明するが、私はいままで本業の工務店とは別に、いくつもの会社をつくってきた。たとえば「賃貸マンション20棟購入費(土地建物20億円)」という目標を設定したら、その目標を達成する受け皿として会社をひとつつくるのだ。

 

そしてその目標を達成したら、また新しい目標をたて、新しい会社をもうひとつつくる。私はこうしては、ゆっくりと、しかし確実に自分の所有する1棟マンションの数を増やしてきた。目標は、あくまで通過点にすぎないのだ。

銀行に返済後、残りわずかな利益を享受する地味な作業

わたしはよく自分がたてた目標をビーカーにたとえることがある。大家さん業というのは、月々いただく家賃から銀行への返済を行い、残りのわずかな利益を、すこしずつビーカーに集めていくようなものだと思うことがあるからだ。

 

少しずつしか、たまってはいかないが、しんぼう強く続けていれば、いつかはいっぱいになってくれる。

 

しかしビーカーばかり増やしていたら、どうなるだろうか。なかなか水はいっぱいにならない。ひとつのビーカーにゆっくりとではあるが確実に水がたまっていくイメージと、カラに近いビーカーばかりがならんでおり、あちらにポツリ、こちらにポツリと水が落ちているイメージをくらべてみてほしい。どちらがプラスのイメージかは、いうまでもないだろう。

 

ひとつのビーカーがいよいよいっぱいになったら、つぎの目標をたてるタイミングがきたということだ。

 

このビーカーこそが、私のいう「大家さんとしての目標」であり、その目標を達成するためにつくった受け皿会社である。

 

もちろん目標のたてかたはいろいろある。たとえば、あるエリアを想定してそこに一定の数の1棟マンションを建てるとする場合もある。またある既成の大型マンションを対象に単身者向けの専有部分をすべて買い進むという目標をたてる場合もあっていいだろう。

 

こうして目標を達成し、いっぱいになったビーカーができていくと、こんどはビーカーがあふれことになる。

 

銀行から借りたおカネを完済し利益が増えてあふれる場合もある。また大型マンションの専有部分を買い進めていくうち、予定の戸数をオーバーしビーカーの容量をこえてしまうこともある。私が自分の所有する賃貸住宅の売却を考えるのは、こんな場合だ。

大家さん業でもうかったおカネをつぎの物件につぎこむ

私は自分が所有している賃貸住宅は原則として売らないことにしている。その理由はまず、売る理由がないことだ。私にとって大家さん業は副業であり、生きていくのに必要なおカネは本業である工務店の社長としての給与で十分だ。

 

また大家さん業の受け皿としてつくった会社は、将来子どもたちへの財産分与を想定しているが、まだ子どもたちは幼く、いまのところ売却益を出さなければならない差し迫った事情はない。

 

したがって、もし売却する場合は、よほど条件のいい物件を買ってくれないかという話が持ち込まれて、いままで持っていた物件と入れ替えるような場合しか想定できないのだ。

 

わたしはこうした場合に売却益が出たとしても、それは自分のためにつかったり、家族のためにつかったりせず、そのとき自分が設定している目標を達成するためにつかうことを自分に科している。

 

ビーカーからあふれた水(利益)は、つぎのビーカーにもどしてやる。つまり大家さん業でもうかったカネは新しい次の物件につぎこむことが大事なのだ。

経費削減し「もうけのスピード」を上げてしまうと…

大家さん業の「もうけ」は、つぎの目標のために投資しろと述べた。もちろんそれも大切だが、その前に、自分の物件の維持管理に、おカネを惜しまないことが前提になる。

 

物件の維持管理の具体的なノウハウは、あとで詳しく述べるが、ここでは大家さんをやる上での心がまえとして述べておく。

 

ポイントはビーカーの中にたまる水(利益)の量を多くしようとあせらないことだ。さきほどから大家さん業をビーカーに水をためるイメージととらえているが、こういう話をすると「じゃ、水がたまる速度をあげればいい」と考える人が必ず出てくる。そうすればビーカーはすぐにいっぱいになり、つぎのビーカーに移れると。

 

そしてそれを実現するためにどうしたらいいかと考え、たどりつくのは経費の削減だ。業者に委託した清掃の回数を減らす。入居者が退出したあとのハウスクリーニングの費用も削る。そのほかすぐに「利益」を出そうとすれば、削れる経費はいろいろあるようにみえる。

 

しかし、「ウサギとカメ」の警句を思い起こしてほしい。あなたの賃貸住宅の維持管理の経費を削って、無理に利益をあげることが、ほんとうに目標達成の助けになるのか。

 

私はそうは思わない。利益が出たら物件の価値を上げるためにどんどん投資する。個別の物件だけでなく共用部分にも投資し、美観をたもち、入居希望者に思わず「この物件に住みたい」といわせるような物件に育てることが大切であり、同時にそれが大家さんの醍醐味なのだ。

 

そうすれば将来、必ずやってくる家賃の低下を少しでも食い止めることにつながる。歩みはカメのようにのろくても確実に目標達成につながるのだ。

毎月2000万円の収入だが「家賃で飯は食うな」のワケ

繰り返しになるが、私は現在20棟の賃貸物件を所有しており、そこから毎月2000万円の家賃収入がある。そして毎月1800万円を越える額を銀行などの金融機関に返済している。残りのお金は私が所有する賃貸物件の維持管理や古くなった物件のリノベーションなどにつかっている。

 

もちろん物件ごとにみていけば、投資した分をすでに回収して利益をとりにいっている物件もあるし、まだ建てたばかりで金融機関への金利分も払えていないし募集などに経費のかかった物件もある。このように新旧の物件でお金の出入りのバランスをとりながら、トータルで若干の利益が出るようにしていくのが大家さんの腕の見せどころだ。

 

ただ私の場合、こうした利益は1円たりとも私的な生活には使っていない。私は大阪府の堺市で工務店を経営しており、自分の生活はすべて工務店からの給料でまかなっているのだ。

 

◆大家さん業は副業と考える

 

私にとって本業は「工務店のおやじ」であり、何十人もいる社員の生活を守っていくのが最優先である。「大家さん」は、どこまでいっても副業という位置付けである。ここは大家さんになりたいという人に、ぜひとも知っておいてほしい。

 

「家賃で飯をくうな。きちんとした本業をもて」

 

これが大家さんとして自分に科しているオキテのひとつである。私は最初のマンションでこそ、家賃で自分のためにクルマを買ったが、それ以降は、このオキテを愚直に守ってきた。大家さんとして成功するために、これは重要なポイントだ。

 

こう書くと「大家さんというのも、りっぱな仕事ではないか」といった声が聞こえてきそうだ。

 

もちろん私は大家さんという職業にケチをつけるつもりは毛頭ない。ここで私が強調したいのは、せっかくサラリーマンという立派な仕事をもっているのだから、その仕事をおろそかにしない方がいいということだ。

 

私はいままで、工務店のおやじの立場から、あるいは同じ大家さんという同業者の立場から、多くの大家さんをみてきた。その結果、わかったことは、本業をもっている大家さんは、ピンチに強いということだ。

 

ここ30年ぐらいを振り返ってみても日本経済は何度も危機に遭遇している。その度に計画通りに家賃が入ってこなかったりして、多くの大家さんが崖っぷちに立たされた。そこから立ち上がっていまも大家さんを続けている人は、やはり本業をもっている場合が多いのである。

「次の1棟」の声がかかったとき、一番危ない

経済状況の変化で、賃貸住宅の需要が減ったり、家賃相場が下がったりして、一時的に大家さん業が厳しい状態になっても、本業で食っていけるなら何とか切り抜けられる場合
が少なくない。

 

しかし、全部ではなくても家賃収入の一部を生活費などにあてていれば、たちまち行き詰まってしまう。こうした最悪の場合を想定して、とくに大家さん業をはじめたばかりのころは、いくら順調に家賃が入ってきても、自分の生活は本業でまかなえるレベルにしておくことが肝心だ。

 

最初に購入した一棟物件が満室になり、順調に家賃収入が上がってくると、計画に沿って「次の1棟」という話がでてくるはずだ。私の経験からいえば、そのあたりが一番危ないので、もう一度ふんどしを締め直したい。

「これは、ちょっとヤバイな」と感じる人の共通点は…

これまで、大家さん業を手広くやっていながら、途中で失敗し、破産したり行方しれずになった人を私はたくさんみてきた。その結果、つき合いのある人なら「これは、ちょっとヤバイな」「そろそろとぶかな」などと判断がつくようになってきた。

 

どこでわかるかといえば、まず洋服や靴、時計など身につけるものの質がハンパなく上がり、とても普通の金銭感覚ではないなと思えるようになることでわかる。また三度の食事も、私なら接待などで月に一度いけるかどうかの高級店に毎日のように通っているという噂がどこからともなく聞こえてくるのだ。そして大阪ならミナミの高級クラブの上客として通い詰める。クルマも高級イタリア車をとっかえひっかえするようになる。

 

こうした生活が可能になるのは、自分の所有する賃貸住宅からの家賃を自分の私生活の質を上げるためにつかっているからだ。またクルマなど大きな買い物をするときは手持ちの賃貸住宅を売ってそのおカネをあてるようになる。

 

大家さん業は繰り返し述べてきたように堅実にやれば、いまの時代、そんなに簡単に大きな失敗はしない。しかしこんなふうに浪費をして自分の私生活の「エンゲル係数」をどこまでもあげていけば、すぐに破綻はやってくる。

私も一度は破滅の瀬戸際までいった

かくいう私も一度破滅の瀬戸際までいったことがある。お恥ずかしい話なので詳細に触れるのは勘弁していただくが、だから私生活のエンゲル係数をあげまくって、最終的に破産してしまった多くの大家さん=不動産投資家の気持ちはよくわかるのだ。

 

私の場合、月に2000万円の家賃収入がある。もちろんそのうち1800万円は銀行への借入金返済に回すわけだが、それでも計算上は毎月200万円が残る。それは自分の持っている賃貸住宅の機能アップやリフォーム、また次の目標への投資にあてるべきだと書いたが、それを実行するのは、そんなに簡単ではない。

 

それに自分が好きに使うことのできないおカネが銀行口座を右から左へ通過していくのをみているうちに、自分はいったい何をしているのかと、ふと考える瞬間がある。そんな瞬間にこそ、破滅への入り口が口をあけて待っているのだ。

 

大家さんは孤独な職業である。「今月だけ」「来月には穴埋めする」とか自分にいい訳しながら家賃を私的につかっても、だれも文句をいう人はいないのだ。たぶんこの記事を読んでいるあなたも、大家さんとして成功したら一度は私のように破滅寸前の体験をするはずだ。これは人間である以上避けられないというのが私の結論だ。

クルマはベンツかポルシェまでとすること

私が繰り返し「本業をもて」「大家さんは、あくまで副業に」と書くのはそのためだ。私も恥ずかしながら破滅寸前までいったが、そこから引き返してこれたのは本業があったおかげだ。だから私はそれ以来、より厳しく自分を律していかないといけないと考えた。

 

たとえばクルマだ。私もクルマは好きだが、フェラーリやマセラッティ、ランボルギーニなど、イタリア製の高級スポーツカーには乗らないことにしている。多くの大家さんたちが、こうしたイタリア製高級スポーツカーに買い換えてすぐに破滅していったからだ。私はプライベートではあえて新車には乗らず、中古のメルセデスのSLを何台か乗り継いでいる。

 

また仕事場へいくときは「工務店のおやじ」らしく、トヨタの1000cc・パッソを愛用している。最終的にはポルシェの911に乗りたいというのが私の夢だ。

 

 

町田 泰次

株式会社町田工務店 代表取締役社長

株式会社町田工務店 代表取締役社長

大阪市出身。高校卒業後、父親が創設した町田工務店に入社。昼間は現場で働き、夜は夜間の大学に通い建築を勉強しながら、一級建築士の資格を取得。平成3年町田工務店の社長に就任した際に、パートナーや回りの人たちの大切さを実感。以来、実際に住まわれるお客様の顔が見える仕事を一層大事にし、そんなお客様に喜んでいただけることを日々の仕事の励みや喜び、やりがいとする。
安心安全はあたりまえ。「大切な家族を育む家づくり」「人と地球にやさしい家づくり」「次世代へ引き継ぐ家づくり」。そんな『こだわりの暮らし』を追求する。

著者紹介

連載年収400万円でも大家さんになれる~工務店社長が教える5つの流儀

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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