前回は、かかりつけの動物病院として選ばれるための方法と、動物病院を自宅と兼用するメリットなどについて説明しました。今回は、動物病院を新規開業するための資金の調達方法について見ていきます。

開業資金は3500万~4000万円程度が必要

開業の際に最も頭を悩ませることになるのは、「開業資金をどのように工面するのか」という資金調達の問題です。動物病院のブランディングや提案を手がける専門家によると、テナントで新規開業する場合には、現在、平均すると総額で3500万円から4000万円が必要だそうです(とりわけ、医療機器にかかる費用は大きく、資金の半額近くを占めることになります)。

 

これだけの金額をすべて預貯金などで賄うことができるというのであれば全く問題はありませんが、おそらく、ほとんどの人は自己資金だけでは足りず、借り入れに頼らざるを得ないでしょう。もっとも、獣医師が開業する場合、民間の金融機関は融資に応じてくれない可能性もありますので、資金調達手段は限られています。

資金を調達する「2つ」の方法とは?

具体的には、①日本政策金融公庫か、あるいは、②制度融資のいずれかに融資を依頼することになるでしょう。

 

①は、資本金の全額を政府が出資している政府系金融機関であり、もっぱら民間の銀行から資金調達を受けにくい中小企業などへの融資を行っています。一方、②は地方自治体と信用保証協会と金融機関3者の協力のもとで行われる融資制度です。それぞれの融資限度額、返済期間などの概要は以下の通りです。

 

①日本政策金融公庫(新規開業資金の場合)

●融資限度額・・・7200万円(うち運転資金4800万円)

返済期間・・・設備資金は原則として15年以内、運転資金は原則として5年以内

利率・・・基準利率

 

②制度融資(東京都の「創業融資」の場合)

融資限度額・・・原則として2500万円

返済期間・・・運転資金は7年以内、設備資金は10年以内

利率・・・固定金利と変動金利がある

 

融資を受ける場合には、日本政策金融公庫であろうと制度融資であろうと、事業計画書を提出することが求められるでしょう。事業計画書とは、予定している動物病院事業の中身や目的、特徴などを明らかにするもので、必要な資金の額や事業の見通し(売上高、経費、利益など)などについても記載します。

 

また、資金調達の手段としては、①、②の他に親や親戚からの借り入れやあるいは贈与を受けるなどの選択肢もあり得ます。贈与を受けたときは、贈与税の申告・納付が必要となるので、忘れずにそのための手続きを行うようにしましょう。また、贈与ではなく借り入れを受けた場合にも、贈与税の対策が必要となります。

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    本連載は、2014年8月27日刊行の書籍『どうぶつ病院を繁盛させる50の方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    百瀬 弘之

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勤務医の時代はたとえ給料は安くても、独立して動物病院を開業すれば十中八九成功が約束されていた獣医師。 ペットブームの恩恵を受けて市場を拡大し続けてきた獣医師業界ですが、近年の動物病院の増加により飽和状態に。さら…

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