「駆除すべき対象としてしか見ていなかった生き物に対して、ネズミさんたちと呼びたくなるほどに親しみを感じている」「解き明かして得たネズミさんたちの習性が、今後のドブネズミ駆除に役立つのであれば、私にとってこれ以上喜ばしいことはない」――ネズミ捕獲のプロ・山﨑收一氏は書籍『捕獲具開発と驚くべきネズミの習性』(幻冬舎MC)で、そう語っています。

「うれしい」気持ちで捕獲に「のめり込む」のだ…

一般的に、ネズミが野生状態でどのような生活をしているかについて確認されたことはない。子は自立できるようになると親から離れて生活するのか、それとも、数回の出産で生まれた子が親と共同生活をするのか、公には確認されていないことになっている。

 

ネズミ算式に野ネズミの個体数が増えて大繁殖し、農作物に多大な被害を及ぼすことはが過去に何度もあった。その度に、研究者たちはそのメカニズムを解明しようとして様々な調査を行ってきた。

 

大繁殖が起きる過程を推理する上で、前述したネズミに関する考え方は実に都合が良いのだ。

 

すなわち、早い時期に自立し、それぞれの個体が異なった集団の個体とペアを組んで繁殖活動を開始すると、食料が十分確保できるなら、短期間に個体数がネズミ算式に増える。実際、実験動物として飼育されているハツカネズミはそのようにして飼育し、短期間に繁殖させることによって多くの個体を実験のために供用している。

 

しかし、昨今の人間世界と同様、子がいつまでも親と同居しているとすると、当然繁殖の機会が減ってしまうので、大繁殖は起こりえない。子がいつまでも親と同居しているクマネズミとドブネズミでは自然状態で大繁殖することはないということになる。

 

大繁殖の例の多くは体の小さい野ネズミについての話なので、クマネズミとドブネズミは、時として大繁殖をする野ネズミとは違って全く別の生活様式を持っていると考えた方が良いのではないだろうか。

 

思っていた以上にクマネズミ社会は奥が深く、行動様式についてさらに解明することが重要になった。科学的な興味という点では面白いことこの上ない。私はクマネズミを捕獲することができたうれしさも相まって益々のめりこむようになった。

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捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

捕獲具開発と驚くべきネズミの習性

山﨑 收一

幻冬舎メディアコンサルティング

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