「がん」はお金がかかる病気です。継続的な治療や再発のリスクを考えると、やはり定期収入があると安心でしょう。とはいえ、治療の不安で自ら離職したり、周囲の無理解で仕事を続けられないケースも少なくありません。ここでは、がん治療と仕事の両立のほか、公的制度を最大限活用する方法を紹介します。本連載は、ファイナンシャルプランナーの辻本 由香氏の著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)から一部を抜粋・編集したものです。

10年勤務で失業保険は30日間延長される

退職の日をいつにするかで、将来受け取るお金の額が変わることがあります。翔子さん(仮名36歳)は会社から提案された退職日の理由を知らず、もう少しで損をするところでした。

 

「あと2か月で10年だったのにな……」

 

ランチをしながらつぶやいていると、先輩から「なんとしてもあと2か月働くように」と助言されました。翔子さんの会社では、勤続10年を超えると退職金の額が大きく変わるとのこと。驚いて会社の退職金規定を確認すると、10年未満と10年超では退職金の額に30万円もの差があるとわかりました。

 

「だから、来月末の退職でどうかと聞かれたんだ!」まじめにコツコツ働いてきたのにと、翔子さんはいたたまれない気持ちになりました。

 

「ほかにも何かあるんじゃないの?」そう思った翔子さん。ファイナンシャルプランナーに相談したいと、筆者のもとを訪れました。

 

気になったのは雇用保険の基本手当。失業保険とも呼ばれているこの手当は、被保険者であった期間が10年を超えると失業保険の受取期間が変わります。

 

一般的には10年未満は90日。10年以上20年未満は120日と、30日間受給期間が長くなります(2018年12月現在)。

 

体力の不足や疾病(しつぺい)などによって「正当な理由のある自己都合により離職した者」だと認められれば、「特定理由離職者」となることも。

 

翔子さん(36歳)を例にとると、10年未満は180日。10年以上20年未満は240日と、60日間も長くなるとわかりました(2018年12月現在)。

 

カラダの具合や治療に支障がなければ、先輩の助言通り「なんとしてもあと2か月」退職せずに会社にとどまることがオススメです。

 

失業保険を受給するには「すぐに就職できる状態」という条件があります。このため、病気やケガのために仕事ができないときは失業保険を受給することができません。失業保険は通常1年の受給期間を最大3年(合計4年)延長することができるので、退職後はすみやかにハローワークで延長申請をしてください。

 

自分の意思ではない退職は、こころに大きなダメージとなります。会社や上司からの提案にはどんな意味があるのかを知ることは、とても大切なポイントです。これらの制度を利用するには退職後では間に合わないことも。経済的な痛みだけでも軽減できるよういったん立ち止まってみましょう。

 

 

辻本 由香

つじもとFP事務所 代表

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