保障の手厚さに大きな差…がん離職なら退職日に拘るべき理由

「がん」はお金がかかる病気です。継続的な治療や再発のリスクを考えると、やはり定期収入があると安心でしょう。とはいえ、治療の不安で自ら離職したり、周囲の無理解で仕事を続けられないケースも少なくありません。ここでは、がん治療と仕事の両立のほか、公的制度を最大限活用する方法を紹介します。本連載は、ファイナンシャルプランナーの辻本 由香氏の著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)から一部を抜粋・編集したものです。

退職後も傷病手当金を受給するには、最終出社日に注意

使える制度を利用したり自分なりに働き方を工夫したりしていても、退職せざるを得ないことがあります。そのときに考えたいのが、退職後の生活です。経済的な不安を軽くするにはどうしたらいいか。退職届を書く前に、チェックしたい項目を紹介します。

 

治療を続けながらの就職活動は、なかなか大変です。収入減を補うために、何ができるか。在籍時に利用していた社会保障制度を、退職後も引き続き使えないか確認しましょう。

 

まずは、傷病手当金について。退職日に出勤して給与が払われた場合、退職後に傷病手当金が受給できません。傷病手当金は、おおよそ月給の3分の2が在籍時を含め最長1年6か月もらえる制度。ちょっとしたことで、退職後の収入減を手放さないように、退職日は「欠勤」または「有給休暇」となるようにしてください。ただし、退職後の支給期間中にいったん仕事に就くと、その後に再び働けなくなったとしても支給の対象外となります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

次に、高額療養費制度について。「多数回該当」に当てはまる場合は注意が必要です。「多数回該当」とは、診療を受けた月以前の1年間に、3か月以上の高額療養費の支給を受けた場合に、4か月目から自己負担限度額がさらに軽減される仕組みです。

 

ただ、高額療養費の「多数回該当」は、保険者が変わった場合には通算できません。例えば、○○保険組合から国民健康保険へなど保険者が変わると、「多数回該当」を引き継げません。これは、「ふりだし」に戻るということ。今後の治療費に少なからず影響が出ます。退職後の健康保険は退職前に加入している健康保険の任意継続を検討しましょう。

 

任意継続被保険者になるには、

 

●退職前に継続して健康保険の被保険者期間が2か月以上ある

●退職日翌日から20日以内に自分で手続きをする

 

という条件があります。

 

原則として、健康保険証が手もとにないと、治療を受けることができません。退職前に健康保険証に記載されている保険者に相談しておくと、スムーズに手続きが進みます。

 

国民健康保険に加入する場合もあるでしょう。解雇や退職勧奨(かんしよう)、雇い止めなど、会社都合で退職する場合には、国民健康保険料の軽減措置が受けられる場合があります。市区町村の国民健康保険窓口に出向く前に電話で必要書類を聞いておくと、二度手間にならずに済みます。

つじもとFP事務所 代表

がん経験者と子どものいない世帯が専門のつじもとFP事務所代表。企業の会計や大手金融機関での営業など、お金に関する仕事に約30年従事。現在は、27歳で阪神大震災、43歳で乳がんを発症した経験から、備えることの大切さを伝えるセミナーや個別相談を行っている。著書『がんを生きぬくお金と仕事の相談室』(河出書房新社)。

著者紹介

連載「がんと向き合うFP」が語る!働きながら「がん」と闘う方法

がんを生きぬく お金と仕事の相談室

がんを生きぬく お金と仕事の相談室

辻本 由香

河出書房新社

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