「この一喝で1年は大丈夫」…なぜ社長は叱られたがるのか?

「社長の教祖」と異名を持つ一倉定氏は経営者をよく叱った。叱られるたびに多くの経営者は目を輝かせた。社長の教祖は「世の中に、良い会社とか悪い会社なんてない。あるのは良い社長か悪い社長だけである。会社は社長次第でどうにでもなるんだ」と断言したという。なぜ、令和の時代に「一倉定」が注目されるのか。本連載は作間信司著『伝説の経営コンサルタント 一倉定の社長学』(プレジデント社)からの抜粋です。

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一倉先生に怒られれば身が引き締まる

そんな社長が毎月集う勉強会でも、特に2月の年最初のコースは特別な光景が見られる。自分の予約した席にも座らず会場の外の前室で、天井スピーカーから伝わる先生の肉声を聴いている社長が数人いるのである。テキストは一応広げているがメモは取らない。コーヒーは飲み放題だったのでコーヒー片手に、ときにはタバコを吸いにどこかへ行ってしまう。

 

「あの~S社長、いったい、何やってるんですか? 講義も聞かないで……」と聞くと、「いいんだよ! ここで一倉先生に怒られてれば身が引き締まって、1年間ぐらいは油断しないから」と。続けて、「お陰様で業績も順調になったら、ヨイショを言いに来る人はいても誰も文句を言ったり、叱りに来る人がいないんだよ」「どんなに気をつけているつもりでも、ついつい調子に乗って傲慢になるのが一番怖いからなぁ」と。

 

社長を叱ってくれる人は誰もいない、という。(※写真はイメージです/PIXTA)
社長を叱ってくれる人は誰もいない、という。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

10時間の講義の中で、「あ~、あれやってないな~というのが1つあれば充分なんだよ」「いっぱいメモ取ってもそんなにいっぱいできないし」。

 

確かに会場の後方で熱心に一言一句聞き漏らすまい、また頭も上げずびっしりノートを取っている社長ははじめてに近い方が多く、ベテラン組は中空を見つめながら、たまにボールペンで何か単語を書いている。

 

今ならその聴き方も理解しているが、私も初年兵に近かった当時は不思議な光景であった。

 

会社、お客様の現場、工場内、営業マンの商談風景など、社長の頭の中には映像としてくっきりイメージができており、一倉先生の言葉が「これではダメだよ!」と聞こえていたのだろう。その一番の姿が「社長自身が満足し、わがまま、傲慢になってお客様を見ていない姿」なのである。

 

S社長はお約束通り翌年2月にも、1杯2万~3万円になるコーヒーを飲みに来て、怒られている自分の姿を思い浮かべ、また1年間走り続けるのである。

日本経営合理化協会 専務理事

1959年、山口県生まれ。81年、明治大学経営学部卒業後、大手インテリア会社にて販売戦略など実務経験を積んだ後、1983年、日本経 営合理化協会入協。事業の企画・立案を担当するかたわら、会長牟田學の薫陶を受け、全国の中堅・中小企業の経営相談に携わる。以来20余年の豊富な指導経験からオーナー経営者との親交も非常に深く、その親身のコンサルティングに多くの社長が全幅の信頼を寄せる。メーカー・商社・小売・サービス業など、現在まで300余社を指導する気鋭のコンサルタント。協会主催の社長塾「地球の会」「事業発展計画書作成合宿セミナー」などの講師を歴任し、現在「佐藤塾〜長期計画〜」副塾長、「JMCA幹部塾」塾長を務める。田中道信氏の「会長業の実 務と心得(CD)」の聞き手、社長のための“声” の経営情報誌「月刊CD経営塾」の番組ナビゲーターとして活躍中。執筆中の協会のメルマガ、社長のための経営コラム「経営無形庵」も好評。 共著『事業発展計画書の作り方』、解説『執念の経営』。

著者紹介

連載「会社は絶対に潰さない!」伝説の指導がいま蘇る

一倉定の社長学

一倉定の社長学

作間 信司

プレジデント社

「社長の教祖」と異名を持つ伝説の経営コンサルタントは経営者をよく叱った。しかし、叱られるたびにに多くの経営者は目を輝かせたという。ユニ・チャーム、ドトールコーヒー、サンマルクカフェなどの創業者たちは教祖の一喝か…

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