
全世界で医療崩壊が相次いだ昨今、「命の線引き」という言葉も取り沙汰されるようになりました。ジレンマに苦悩する医療従事者も多く、医療現場では「医師のマネジメント」が重要になっています。そこで本記事では、愛知医科大学・内科学講座肝胆膵内科学准教授である角田圭雄氏の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。
ルーチンワークは「創造性」を駆逐する
近年の医療現場はDPC、クリティカルパスなどのオペレーション効率を高めるための戦術ばかりが議論されています。限られた資源を有効に活かすためにその必要性は理解できますが、現場の医療者のモチベーションを大きく損なっています。
臨床現場の業務を日々こなすのが精一杯という方が多いと思います。しかし、「ルーチンワークは創造性を駆逐する」と考えています。そもそも人間は、目の前に大量のルーチンワークを積まれると、その処理に追われ、創造的な仕事を後回しにしてしまう傾向があります。創造的な仕事とは、仕事のやり方自体を根本から変えるとか、長期的な展望を描いてみるとかいった作業のことです。
病院ではプレイングマネージャーが多く、マネジメントのプロではないプレイヤーが病院を管理しており、目先の問題をいかに効率的にクリアするかのみに集中し、中長期的な戦略を立案することができていないと言われます※1。
1978年にノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモン(1916-2001)が計画のグレシャムの法則として提案した概念です。不確実性が高まり、例外処理のためにヒエラルキーがパンクし始めると、組織全体が意思決定のグレシャムの法則にはまりこんでしまいます。管理者・経営者たちが目先の例外処理に追われ、長期的なことや抜本的な改革を後回しにし始めるのです。
そしてオペレーションの効率化こそが病院経営の根本であると勘違いしていきます。単純な定型業務は創造的な業務を駆逐するリスクを背負っているとご理解頂きたいです。

(画像はイメージです/PIXTA)
「いかにうまく行うか」は重要ではない
ドラッカーによれば「いかにうまく行うか」ではなくて、「何が目的か、何を実現しようと思っているのか、なぜそれを行うのか」を常に問うことが重要だということです※2。
Googleの20%ルールを皆様はご存じかと思います。Googleでは勤務時間の20%は労働者の自由にしていいというルールがあり、テニスをしている人、寝ている人、ジョギングする人などさまざまです。イノベーションを生むアイデアはそのような自由時間から生まれており、Googlemap、Google翻訳、G-mailなどが好例です。
オペレーションの効率化ばかりを求めるのはではなく、病院業務にもこの20%ルールを取り込むことで、現場の職員がイノベーションを生む可能性があります。自組織の職員にイノベーションを生む人材が埋もれていることを認識すべきです。
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