一方、伸び続けているのは、高齢者の割合だけではありません。戦後、1950年の平均寿命は女性61.5歳、男性58.0歳でしたが、1990年に女性の平均寿命が80歳を超え、2015年には男性の平均寿命も80歳を超えました(図表2)。今後も平均寿命は伸び続け、2065年には男性は84.95歳、女性は91.35歳になるといわれています。
高齢者は自身の暮らしを心配に思っているのか?
平均寿命も高齢者の人数も増え続けていますが、その暮らしぶりはどうなのでしょうか。
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」(2018年)によると、65歳以上の高齢者がいる世帯では、持ち家率が82.1%。単身の高齢者世帯の場合は、持ち家率66.2%となっています。持ち家志向の強い世代でもあるので、今後は、高齢者層の持ち家率は低下していくことが予測されています。
また内閣府による「高齢者の住宅と生活環境に関する調査」(2018年)によると、外出は「自分で運転する車」でという人が56.6%と最も高く、ついで「徒歩」が56.4%と続きます。もちろん大都市圏では「徒歩」が71.0%と優勢になりますが、「自分で運転する車」38.4%、「電車」36.5%と、アクティブに生活する、高齢者の姿がみえてきました。
次に高齢者の所得についてみていきましょう。
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年)によると、高齢者世帯の平均所得は、312万6,000円。また2018年同調査では、公的年金・恩給を受けている高齢者世帯で、それが家計収入のすべてになっている世帯は48.4%と約半数となってます。
さらに貯蓄の状況をみていきましょう。高齢者世帯で「貯蓄がある」と回答したのは80.1%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,213万2,000円。また年代別にみていくと、60~69歳で1,461万7,000円、70歳以上で1,233万5,000円となっています。
昨年、老後、夫婦で2,000万円が必要といわれ大騒ぎになりましたが、現在の高齢者世帯の貯蓄の状況をみていくと、「そんなに持っていない……」という世帯が平均です。