アップル、Googleも導入…「瞑想」のスゴい効果
あなたは脳を物理的・肉体的に鍛える方法をご存知ですか? これからご紹介するエクササイズは、お子さんの脳、もっと具体的に言うと自制心を司る脳の前頭前皮質を鍛えてくれます。すなわち2階の脳のことです。
想像してみてください。脳が鍛えられ、強い自制心を身につけたお子さんの姿を。やってはいけないことをガマンし、理想の自分になるために、やるべきことに打ち込んでいます。その結果、成績が上がり、志望校の合格をつかみ、将来なりたい仕事に就くことができます。
学習意欲を引き出すARCSモデルのRの要素の1つとして「目的と関連づけること」がありますが、まず目的・目標がなければどうにもなりません。なりたい自分になるお手伝いはできても、なりたい自分を押しつけることはできないのです。私たちも、「目標がない」子にほとほと手を焼いてきました。「勉強ギライ」と並んで、困ってしまうパターンの1つです。
この脳を鍛えるエクササイズは本連載の直接テーマであるARCSモデルの枠組みからは少し外れますが、まずは子どもの「自分の理想を描く力」を育てる必要があります。その力は前述の前頭前皮質から生まれるということで、Rの前提となる脳力を身につけるためのエクササイズをご紹介しましょう。
ご家庭で取り入れてみてほしいエクササイズとは「瞑想」です。瞑想をすると、前頭前皮質への血流が増えることが確認されています。やればやるほど、脳はもっとうまくできるようになろうとして大きくなり、速く働くようになります。
米ハーバード大学の研究グループがMRI(磁気共鳴画像法)で調べたところ、瞑想を定期的に行うグループの人たちの脳は、集中力・感情の抑制・頭の柔軟性を司る脳の前頭前皮質の灰白質が増加していたそうです。つまり、瞑想によって脳の「自制心」を司る部分が特に鍛えられるのです。
そのため、瞑想はスティーブ・ジョブズが実践したり、Googleが社内研修で取り入れたりするようになり、ビジネス界でも注目を集めてきました。私たちはそれを教育にも取り入れています。
子どもでもちゃんとできる「カンタン瞑想法」
瞑想というと、子どもには難しそうなイメージがありますが、そんなことはありません。「座禅のような特別な姿勢で、思考と感情をなくして、無の状態を作る」という完璧なものでなくても効果はあります。具体的に見ていきましょう。
1. 動かずにじっと座る
●椅子に座って足の裏を床にピッタリつける
●背筋を伸ばし、両手は膝の上に置く
●手足を動かさないように、止まることを意識する
2. 呼吸に意識を集中する
●目を閉じるか、どこか一点を見つめる
●呼吸に意識を集中する
●心の中で「吸って」「吐いて」と繰り返す
●気が散り出すたびに呼吸に意識を戻す
3. 呼吸をしているときの感覚をつかむ
●数分経ったら心の中で「吸って」「吐いて」と言うのをやめる
●お腹や胸が膨らんだり萎んだりする感覚に集中する
●他のことを考えてしまっていることに気づいたら、そのたび呼吸に意識を戻す
●感覚だけに集中するのが難しければ、また「吸って」「吐いて」と言う
大人でも多くの人は、瞑想をしていると頭の中に色々な思考が浮かんでは消えていくものです。私もそうです。そのたびに、また自分を瞑想に引き戻せばいいのです。確かに瞑想していても、すぐに気が散ってしまう子は多いです。そわそわしてしまったり、キョロキョロしたり、他のことを考えてしまったり。でも、上手にできない子ほど、じつは大きな成長があります。
「宿題をちゃんと終わらせられない」「ゲームがいつまでもやめられない」「時間を守れない」「忘れ物が多い」などの問題を抱える子は、目標から離れそうになっている自分を認識し、軌道修正することが苦手です。つまり、メタ認知能力が低いのです。
そういう子は、やはり最初は瞑想も苦手です。だからこそ、気が散っている自分に気づき(自己認識)、呼吸に意識を戻そうとすること(自己コントロール)がとてもいい訓練になるのです。集中できないと効果がないなんて思わず、気が散って戻ってを繰り返しながら少しずつ上手にできるようになろう、とお子さんに声をかけてあげてください。
伸学会の生徒たちも、継続的に続けてきた結果、だいぶ自己コントロールがうまくなってきました。その効果をとても実感しています。ぜひ、ご家庭でも取り入れてみて、お子さんの脳を鍛えてあげてください。
【まとめ】
目的を持つためにも脳力が必要。瞑想をすることで、その脳力を鍛えよう。
菊池 洋匡
中学受験専門塾「伸学会」 代表
秦 一生
中学受験専門塾「伸学会」 開発部主任
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