義兄の相続できる金額はなんと…
それでは、Oさんが相続人になるとして、Oさんはいくら相続することができるでしょうか?
これも民法に定められており、誰がどれくらいの相続分を有しているかは法律で決まっています。まず、配偶者と子が相続人となる場合は2分の1ずつ、配偶者と親の場合はそれぞれ3分の2と3分の1ずつ、配偶者と兄弟姉妹の場合はそれぞれ4分の3と4分の1ずつとなります[図表2]。
これをMさんのケースに当てはめますと、相続人は配偶者であるNさんと兄であるOさんの2人ですので、相続財産のうちNさんが4分の3、Oさんが4分の1ということになります。つまり、OさんはNさんに対して、相続財産のうち4分の1に相当するものを請求することができることになります。
例えば、Mさんの相続財産のうち、ご自宅の価格が2000万円、預貯金の額が400万円だったとした場合、合計額2400万円の4分の1に当たる額、つまり600万円がOさんの相続分です。ご自宅はNさんが今後も生活をしていくうえで必要なものであり、売却をして換金しないとすると、相続財産である預貯金400万円に加えて、Nさん自身の預貯金から200万円をOさんに渡さなければなりません。
Nさんにもし預貯金がなかったら支払うことができず、ご自宅を売却しなければならなくなってしまうかもしれません。
あるいは仮に、Nさんにぎりぎり200万円の預貯金があったとしても、それを手放してしまっては今後の生活が苦しいものとなってしまいます。このケースでは幸い、亡くなったMさんが生前、生命保険に加入しており、Mさんの死亡保険金の受取人をNさんにしていたため、その支払われた保険金で、NさんはOさんに相続分に相当する金銭を渡すことができました。
しかし、お金の都合はついても、NさんからするとOさんに対して思うところもあり、渡す、渡さないで、Oさんと少し言い合いになってしまったようです。
〈考察〉
さて、このケースにおいて、どうすればNさんとOさんの争いを防ぐことができたでしょうか? その一つの答えが遺言です。