コロナ禍でみえた、地方自治体の財政力の差
新型コロナ感染症の拡大で、企業も家庭も苦境に立たされています。そのような状況のなか、それで十分かどうかの議論はさておき、給付金や休業協力金などを手にして、少しは安心した人も多いのではないでしょうか。
一方で、「隣の町はもっともらっているのに……」という経験をした人もいるでしょう。地方自治体によって財政の状況はさまざまなので、居住地や店舗の所在地などによって差が生じるのは仕方がないことです。一方で、このようなことがきっかけに、自身の住んでいる地方自治体の財政状況について、関心を抱いた人も多いのではないでしょうか。
地方自治体の財政について注目が集まった出来事といえば、2006年の北海道夕張市が財政破綻ではないでしょうか。
夕張市は現在、再生振替特例債の借り入れを行い、2027年3月に償還終了を予定しています。破綻以降も人口は減り続け、税収が減るなか、予定通り、財政再生団体からの卒業が叶うか、正念場を迎えています。ちなみに2011年、都庁職員から夕張市長となり、地域再生に取り組んだのが、このコロナ禍で、大阪府知事とともに爽やかな風貌で話題になった、北海道知事、鈴木直道氏です。
人口減少が続く日本では、地方自治体の運営資金である税収が減ることは避けられず、このコロナ禍で第2の夕張市がいつ登場してもおかしくない状況といえます。
財政が破綻した自治体での生活が厳しいことは、実際に破綻した夕張市が教えてくれます。公務員の給与カット、人員削減、行政サービスの停止……市内にあった公立学校は1つに統合され、金融機関も次々と町から徹底していきました。なかでも衝撃的に報道されたのが水道料金。全国一高い平均7,000円弱で、住民は大きな負担を強いられました。
このような状況にならないよう、住んでいる自治体の財政状況に目を光らせておくことは、私たちにとって、リスクヘッジになるといえるでしょう。