「財政力の自立度」が最も高い都道府県は?
総務省では毎年行っている「地方財政状況調査」など通して得た情報を、さまざまな形で公表しているので、これらの資料から自身の関係する地方自治体の財政状況を確認することができます。なかでも比較的簡単にみられるのが5つの主要財政指標です。
財政力を示す指数で[基準財政収入額÷基準財政需要額]で算出される数値の過去3年間の平均値。この指数が大きいほど税収が豊かといえ、1より大きい場合は国から地方交付税が交付されず「不交付団体」と呼ばれる。
●経常収支比率
財政構造の弾力性を表す指数で、人件費、扶助費、公債費など毎年支出することが決まっている費用に、地方税、地方交付税、地方譲与税などの経常的な収入がどの程度充当されているかを比率で示す。70〜80%が適正値で、100%を超えると危機的な状況となる。
●実質公債費比率
一般財源の規模に対する公債費の割合のこと。18%を超えると起債に当たり許可が必要になり、25%を超えると起債の一部が制限される。
●将来負担比率
地方公共団体の財政規模に対して、借入金(地方債)など純債務の負担の大きさを表したもの。早期健全化基準(イエローカード)は、政令指定都市を除く市町村は350%、都道府県と政令指定都市は400%。
●ラスパイレス指数
国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の給料水準を指数で示したもの。100を超えるほど、国家公務員の給料水準より地方公務員の給料水準が高いことになる。
5つの指標の中で、「財政力指数」に注目してみていきます。都道府県別で1を超えているのは「東京都」のみで1.17884。「愛知県」0.91723、「神奈川県」0.89998、「大阪府」0.78763、「千葉県」0.77656、「埼玉県」0.76618と続きます(図表1)。
一方、最も指数が低いのが、「島根県」で0.26024。「高知県」0.27045、「鳥取県」0.27719、「秋田県」0.31248、「徳島県」0.32641と続きます(図表2)。
東京都には十分な財源がある一方、財政的にほぼ国頼りの地方県があり、その差は大きいということがわかります。このような地域差は、人口や所得、産業などによるところが大きく、東京圏、大都市圏への一極集中、中央集権が大きな要因として考えられます。