日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、コロナ禍で人がどのように動いたのか、検証していきます。

緊急事態宣言発令からこれまで…新宿を例に

ではまず、新宿の推移。朝の通勤時間帯6~9時の推定居住地ごとの前年同週比の推移をみていくと(図表2)、新型コロナ感染症拡大の懸念が強く報道されるようになった3月ごろから、全体的に前年比マイナスを記録するようになりました。

 

出所:V-RESAS、株式会社Agoop
[図表2]新宿6~9時、推定居住地ごとの前年同週比の推移 出所:V-RESAS、株式会社Agoop

 

以降、3つの推定居住地のうち、「都道府県内」に絞って数値をみていきます。

 

その後、三連休後に新規感染者数の増加が顕著になり、小池百合子東京都知事が週末の外出自粛要請などで危機感がいっそう強まると、3月5週に-15%、4月1週に-29%を記録。都知事の要請もあり、リモートワークが割合が増えたのも、このあたり。

 

そして緊急事態宣言が発令された4月2週に-46%、4月4週に-63%まで落ち込みます。つまり5人3人は在宅勤務を行っていた一方で、事情は色々とあるにせよ、残りの2人は緊急事態宣言下でも出勤を余儀なくされていた、という事情がみえてきます。

 

ゴールデンウィーク中は多少移動が増え、-47%に増加。緊急事態宣言が全面的に解除となった5月5週は-45%。その後、在宅勤務も解除され、出勤する人も増えたのでしょう。7月1週には-20%、直近の8月3週は-13%に。通勤電車に乗っていて「通常の8割程度かな」と体感している人も多いのではないでしょうか。データからもそのことが推測できます。

 

推定居住地別にみてもだいたい同じ動きをしていますが、「(同一)市区町村内」の居住者のみ、5月2週に増加し-8%、6月1週に限っては+96%、2週に88%を記録しました。5月2週は宣言解除の期待から気がゆるんでいた時期、6月1~2週は、宣言解除後で解放感につつまれていた時期。「身近なところなら外にでてもいいでしょ」と、多くの人が羽を伸ばしたのだろうということが推測できます。

 

一方、別時間帯、仕事が終わり、プライベートの時間を楽しむ20~24時の推移をみていきましょう(図表3)。この時間は3月以降、どの分類でも前年比割れを記録。緊急事態宣言下の5月2週には-85%を記録。緊急事態宣言全面解除後も前年の5割程度の人手しか戻ってきていません。東京都では7月30日に、酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対し、営業時間を朝5時から夜10時までに短縮するよう要請。9月15日まで延長されることが決まっています。そのため夜の外出を控える傾向にあると推測されます

 

出所:V-RESAS、株式会社Agoop
[図表3]新宿20~24時、推定居住地ごとの前年同週比の推移 出所:V-RESAS、株式会社Agoop
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