「家持ち」が多いのは、「秋田」と「富山」
長らく日本では「家を持つ」ことが憧れでした。「住宅・土地統計調査」によると、日本の総住宅数は6,240万7,000戸あり、そのうち、ふだん人が住んでいるのは5,361万6,000戸、さらに持ち家は3,280万2,000戸。いわゆる持ち家率は61.2%となっています。
つまり、この日本で5人に3人は「家を持っている」ということです。特に東京などの大都市で暮らしていると、「持ち家に住んでいる人、そんなに多くないけど……」と感じるでしょう。
もちろん持ち家率には地域差があり、47都道府県で最も持ち家率が高いのは「秋田」で77.3%。「富山」76.8%(ちなみに前回1位)、「山形」74.9%と続きます(図表1)。
一方、最も持ち家率が低いのは「沖縄」で44.4%、続く「東京」45.0%。半数以上が「家を所有していない」のは、全国でこの2つの地域だけです(図表2)。
上位に入ってくるのは日本海側のエリアが多く、下位には大都市を有するエリアが並びます。「北海道はあんなに土地があるのに……」と考える人も多いと思いますが、北海道の人口の1/3以上が札幌に集中。支店経済で、転勤が多い地域なので、「家を持つ」ことにこだわりを持たない層が多いのです。
上位に入ってくるのは、単独世帯の割合が少なく、孫、子、親の三世代世帯が多いエリア。また共働き率も高く、お金の心配なく家を購入できる、という環境が整っているといえます。
また、持ち家の居住室の広さ1位は「富山」で53.83畳、「秋田」51.26畳、「山形」50.61と続きます。一方、居住室が狭いのは「東京」で34.76畳、「鹿児島」35.46畳、「沖縄」36.40と続きます。
一方、同じ広さであってそこに住む人数によって感じ方は変わります。政府は、住宅の質の向上の観点から、世帯人員に応じた住宅の居住面積水準を定め、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準を「最低居住面積水準」、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準を「誘導居住面積水準」と呼んでいます。
誘導居住面積水準以上の持ち家主世帯の割合が高いのは「富山」で87.7%、「秋田」 86.6%、「青森」85.0%と続きます。一方、水準が低いのは「沖縄」で63.1%、「東京」64.4%、「大阪」64.7%と続きます。
富山や秋田に住んでいる人が東京などの家をみたら、「えっ、こんなに狭いところに住んでいるの!?」と、驚かれるでしょう。