インドネシア中銀、財政政策の支援継続

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前回の記事『トルコ中銀、据置というけれど』で、新興国の金融政策据置の例としてトルコを紹介しました。背景は経済不振とインフレ率上昇懸念に直面する中、政治への配慮という特異な内容でした。今回のインドネシアも景気減速は懸念されますが、据え置きの背景に財政政策へのシフトが想定される点に特色があります。そのため金融政策は当面限定的となることが想定されます。

インドネシア中銀:市場予想通り据え置き、通貨安抑制と財政政策重視の姿勢

インドネシア中央銀行(BI)は、2020年8月19日に終了した金融政策会合で、大方の市場予想通り、政策金利のBIレート(7日物リバースレポ金利)を4.00%に据え置くことを発表しました(図表1参照)。

 

インドネシア中銀は声明で、据え置きの理由として、経済成長見通しが弱くインフレも低水準にあるが、通貨ルピアの安定性重視の姿勢を強調しました。また、新型コロナの感染拡大を受け、景気対策としては財政政策を下支えする考えを改めて述べています。

どこに注目すべきか:据え置き、成長率、財政政策、国債引受

前回の記事『トルコ中銀、据置というけれど』で、新興国の金融政策据置の例としてトルコを紹介しました。背景は経済不振とインフレ率上昇懸念に直面する中、政治への配慮という特異な内容でした。今回のインドネシアも景気減速は懸念されますが、据え置きの背景に財政政策へのシフトが想定される点に特色があります。そのため金融政策は当面限定となることが想定されます。

 

まず、インドネシアの主な経済指標を簡単に振り返ります。GDP(国内総生産)成長率は4-6月期が前年同期比でマイナス5.32%でした。インドネシア中銀は今年後半の改善を声明で述べていますが、20年を通じてマイナス成長となる可能性もあります。もっとも先日発表された21年予算案では来年の成長率は4.5%~5.5%のプラス成長を目標としています。

 

インフレ率は2%以下での推移ですが、国内需要の弱さを反映していると声明で指摘しています。国内需要の弱さは輸入の減少を通じて貿易収支を改善させています。しかし、インドネシアは海外からの資金調達に依存する割合が高く、インドネシア中銀は政策として通貨ルピア安を抑制することを重視、政策金利を据え置いた要因と説明しています。

 

なお、インドネシア中銀は(引き下げで無く)流動性供給で金融緩和を推進、景気を下支えする考えを示しています。

 

次に、政策金利を据え置いた別の要因として財政政策へのシフトが挙げられます。インドネシア政府は新型コロナへの対応から、厳格な財政規律(3%下限)を緩和して一時的に財政政策を拡大しています(図表2参照)。インドネシア中銀は財務省と共に財政を負担するとしています(以前の記事『インドネシア、国債引受の本格化を注意深く進める』参照)。特にインドネシア中銀は国債引き受けにまで足を踏み込んでいます。普通に考えれば、その副作用として通貨安(暴落?)が懸念されます。

 

しかし、再度図表1でルピアの動きを見ると、国債引き受け後、若干ルピア安傾向ですが、足元改善も見られます。今回の声明で財政負担(国債購入)について、インドネシア中銀は発行市場から82.1兆ルピア購入したと述べています。これは当初の計画通りの消化で、透明性の高さを維持しています。市場ではインドネシア中銀の国債引き受けに依然懸念を抱いている面もあるだけに当面、通貨安を懸念させるような金融緩和に慎重と思われます。

 

日次、期間:2019年8月26日~2020年8月25日 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]インドネシアルピア(対ドル)と政策金利の推移 日次、期間:2019年8月26日~2020年8月25日
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

年次、期間:2010年~2019年(推定値)、債務残高は国際通貨基金(IMF) 出所:インドネシア財務省、IMFのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]インドネシア債務残高と財政収支対GDP比率の推移 年次、期間:2010年~2019年(推定値)、債務残高は国際通貨基金(IMF)
出所:インドネシア財務省、IMFのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インドネシア中銀、財政政策の支援継続』を参照)。

 

(2020年8月26日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

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