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インドネシア中銀が保有する国債は200兆ルピア程度です。そのうち、発行市場から直接買い入れた国債(引受)は約30兆ルピア強で、流通市場からの購入が170兆ルピア弱です。今回インドネシア中銀が合意した引受額の約400兆ルピアは本格的な引受に踏み出した規模と見られます。ただ、用意周到な準備から、通貨ルピアや国債利回りに目立った動きは見られません。

インドネシア中銀:国債直接引き受け、注意深く進める

インドネシアのスリ・ムルヤニ財務相とインドネシア中銀のペリー・ワリジョ総裁は2020年7月6日、新型コロナウイルスの対策として拡大する財政赤字の負担について中銀と政府で分担することで合意しました。

 

合意によると、新型コロナウイルス対策として約900兆ルピア(約6兆6400億円)を調達するうち、インドネシア中銀が約400兆ルピアを直接引き受けるとしています(図表1参照)。

どこに注目すべきか:国債保有、政令、国債引受、政策金利

インドネシア中銀が保有する国債は200兆ルピア程度です。そのうち、発行市場から直接買い入れた国債(引受)は約30兆ルピア強で、流通市場からの購入が170兆ルピア弱です。今回インドネシア中銀が合意した引受額の約400兆ルピアは本格的な引受に踏み出した規模と見られます。ただ、用意周到な準備から、通貨ルピアや国債利回りに目立った動きは見られません(図表2参照)。

 

まず、簡単にインドネシア中銀の国債引受の経緯を振り返ります。今年3月末にジョコ大統領は政令で時限的にインドネシアの財政赤字上限を超える財政拡大の容認や、中銀の国債直接購入(引受)を認めました。4月にインドネシア中銀は引受を(小額ながら)開始しました。6月末にインドネシアの財務省と中銀が拡大する財政赤字負担の分担について協議していることを発表、今回全容が明らかとなりました。

 

今回の追加財政の約900兆ルピアは対GDP(国内総生産)比で6%弱に相当し、インドネシア中銀の直接引受分は同約2.5%です。決して小さな額ではありませんが、市場の反応は主に次の理由により、限定的であったと見ています。

次ページ市場の反応が限定的だったワケ(図表1,2)

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