WTIは5ヵ月半ぶりの高値
■北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、8月に入り、40米ドルを上回る水準で底堅く推移しています。8月17日には、1バレル=42.89米ドルで取引を終了し、3月初旬以来、終値ベースで約5ヵ月半ぶりの戻り高値を付けて引けました。
■投資家のリスク選好姿勢が続くなか、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスによる協調減産の順守が報じられ、原油需給緩和への懸念が後退したことが好感されました。
OPECは2020年の需要予測をやや下方修正
■8月12日に公表されたOPEC月報8月号によると、2020年の世界の原油需要予想は日量9,063万バレルと、前月の同9,072万バレルからやや減少しました。前年比では同906万バレル減少すると予想しています。
■2021年の原油需要は、同9,763万バレルに回復すると見込んでいます。2020年比で同700万バレル増の見通しを維持しました。これは新型コロナの感染拡大による混乱が世界的に収まるとの想定に基づいています。
コロナ感染や米国の生産に注目
■原油価格は、新型コロナの影響で落ち込んだ経済活動の再開に伴う原油需要の回復見通しを背景に、大きく値を戻してきました。OPECが公表した8月月報では、2020年の世界の石油需要見通しがやや引き下げられたものの、相場の反応は限定的でした。
■今後は、主要産油国の協調減産の動向に加えて、世界で歯止めがかからない新型コロナの感染拡大の動向や、原油価格が40米ドルを上回ってきたことで採算が改善するシェール企業を中心とした米国の原油生産の動向などが注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は底堅く推移(2020年8月)』を参照)。
(2020年8月20日)
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