新興国金融政策まとめ

新型コロナ感染拡大続く新興国、回復力弱く/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
新興国金融政策まとめ

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

進む新興国の金融緩和

■新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済は大きな打撃を受けています。先進国では感染第2波も見られますが、感染拡大ペースは概ね落ち着いてきています。一方、新興国では依然として感染拡大が続き、経済への影響の深刻化が懸念されます。そのような環境下、主要新興国では金融緩和が続いており、7月、8月には南アフリカとブラジル、インドネシアが0.25%、メキシコが0.5%の利下げを決定しました。

 

■一方、インド、トルコ、フィリピンなどでは政策金利が据え置かれました。インドでは物価の高止まりが見込まれ、当面金利の据え置きが予想されています。またブラジル中銀は声明で、更なる利下げの可能性を排除しなかったものの、利下げ余地は極めて小さいとの見方を示しました。

 

(注)データは2019年12月31日~2020年8月21日。下図は各通貨対米ドルレートを2019年12月31日を100として指数化 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
主な新興国政策金利と通貨(下図)の推移 (注)データは2019年12月31日~2020年8月21日。下図は各通貨対米ドルレートを2019年12月31日を100として指数化
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

米国の金融緩和がサポート

■通常、新興国経済が弱含む時は、経常収支の赤字が大きい国を中心に通貨が下落し、景気を支えるための利下げが行えない傾向があります。現在は、米国の大規模な金融緩和により、経済実態の悪化程は通貨が下落していないことが、新興国の積極的な金融緩和の背景となっています。

新型コロナの収束は未だ見えず、経済回復の弱さや遅れに注意

■今後は新型コロナ感染抑制に成功したとみられる中国や、大規模な金融経済対策をとる米国などが世界景気の牽引役になるとみられます。新興国ではコロナ禍以前から景気減速や財政赤字、政治不安などの問題を抱える国が多く、新型コロナ感染拡大によってそれらの問題が一層深刻化することが懸念されています。成長率の下方修正が続くような状況等には注意が必要です。

 

■ただし新興国の状況にはばらつきが見られ、インドなど中長期的に高成長が期待される国や、財政や経常収支が健全な国には、世界的な金融緩和の下、慎重ながら資金の流入が期待されます。世界経済は新型コロナ問題に左右される状況ですが、早期のワクチン開発等によって回復の道筋が明らかになることが望まれます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新興国金融政策まとめ』を参照)。

 

(2020年8月24日)

 

関連マーケットレポート

2020年8月12日 吉川レポート:マネーフローの現状と展望

2020年7月28日 市川レポート:新興国にも広がる量的金融緩和政策

 

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