「まじめにコツコツ勉強する子」の成績が伸びない根本的な原因

頑張っているのに成績が伸びないのは、学習法が正しくないからです。たとえば、10回も20回も漢字の書き取りをする、蛍光ペンやアンダーラインを引きながら読むといった学習法は非効率であることが科学的に証明されています。ここでは、中学受験専門塾「伸学会」の代表・菊池洋匡氏が、小学生のお子さんの成績を速やかに効率的に伸ばす勉強法を紹介します。※本記事は『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)から一部抜粋・再編集したものです。

「効く反復学習」と「ダメな反復学習」はどこが違う?

学習の王道は、何と言っても「繰り返すこと」です。私たちの脳は、「よく使う記憶は大切に違いない」と考えます。だから反復学習をするかしないかの差はとても顕著です。ちゃんと学習を繰り返せば、基本的には学力は伸びていきます。

 

にもかかわらず、真面目にコツコツ繰り返していても、なぜかなかなか点数が伸びていかない。そういう子が時々います。そうするとお父さんお母さんとしては、見ていてもどかしかったり、あるいはかわいそうになってしまったりして、悩み深くなりますね。そんな「要領の悪い反復練習」になってしまう原因は何なのでしょうか?

 

ここでは、その原因の指摘とともに、改善方法をお伝えします。

 

●学力を伸ばす効果的な「解き直し」とは

 

筆者が代表を務めている中学受験専門塾の伸学会では、「実験」と称して、子どもたちと一緒にいろいろな勉強法の比較を行っています。その中でも顕著に差が表れるのが、「解き直しをするかしないか」を比べる実験です。だいたい3〜6倍くらい覚えている量に差が出ます。結局のところ、誰にでもできる勉強の王道は、「解き直し」をちゃんとすることです。このことは、科学的な実験でも確認されています。

 

アメリカ、パデュー大学のカーピック博士がワシントン大学の学生を対象に、スワヒリ語を40単語、繰り返しテストしながら覚えてもらうという実験を行いました。学生たちを2つのグループに分け、一方は間違えたものがあったらすべて覚え直し、もう一方は間違えたところだけを覚え直します。

 

そしてさらに、それぞれのグループを半分ずつに分け、一方は再テストをするときにはすべての問題を解き直し、もう一方は間違えたものだけを解き直します。つまり、組み合わせとしては次の表のような4つになるわけです。

 

 

カーピック博士は学生たちに、満点が取れるまで覚え直しと再テストを繰り返させました。どのグループもすべて覚えるまでにかかった回数はほぼ変わらず、4~5回も繰り返せば皆満点が取れるようになりました。時間や手間という点では、間違えたものだけ覚え直して再テストするほうが賢いと思われるかもしれません。しかし、1週間後に抜き打ちで行ったテスト結果を見たら、きっとそうは思わないでしょう。

 

手間を惜しまずすべて覚え直し、すべて再テストしていたAグループは1週間経っても40問中平均して約32問正解したのに対し、間違えたところだけをやっていたDグループは半分以下の14問ほどしか正解できなかったのです。

 

そして、残りの2グループ、BとCですが、この2つも驚く結果でした。一方はAとほぼ同じスコア、もう一方はDとほぼ同じスコアだったのです。どちらがAと同じく優秀なスコアだったか、わかりますか?

 

予想してみてください。

 

さて結果は……成績がよかったのはCグループでした。あなたの予想は当たっていましたか?

 

 

●学習効率に違いをもたらすテスト効果

 

学習効率を考えるのであれば、かかった時間も加味しなければなりません。それぞれどの程度の時間がかかったかもカーピック博士は計ってくれています。それによると、すべて覚え直してすべて再テストをしたAにかかった時間を100とすると、B、Cともに75くらい、Dは50くらいでした。再テストを減らすと手間は少し省けますが、覚えた量が半分以下になりますから、まったく効率的ではありませんね。

 

一方、覚え直す作業に関しては、できたものは覚え直さなくても正答率には差は出ませんでした。できているものを再度覚え直す作業はなくすのが効率的と言えます。この実験結果から、人は「覚える」ということをしても記憶には残らず、「テスト」を行うことで記憶が定着するのだということがわかります。これは「テスト効果」と呼ばれます。そのままですね(笑)。

 

脳のしくみはインプットよりもアウトプットを重視しています。しかも、私たちが考えるよりもだいぶ偏重しています。頑張っているように見えるのに成績が上がらない子は、インプット過多のケースが多いのです。例えばテスト1回目で良い点を取ろうとして、その前に何度もテキストを読み込んで覚えようとしたり、ノートをきれいに書き直したり。しかし、そういったやり方は効率が悪いとわかりましたね。繰り返すべきなのはインプットではなく、アウトプットのほうです。このことをよく覚えておきましょう。

 

【まとめ】

アウトプットを繰り返すと、記憶は定着し忘れにくくなる。インプットはわからなかったときに必要な範囲ですれば十分。

中学受験専門塾 伸学会 代表

算数オリンピック銀メダリスト。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。

10年間の塾講師歴を経て2014年に伸学会自由が丘校を開校し、現在は目黒校、中野校、伸学会Primaryと4校舎を運営。中学受験の第一志望校合格者は4人に1人と言われる中、毎年40%以上の子どもたちを第一志望校に合格させている。

「自ら伸びる力を育てる」というコンセプトで、少人数制のアットホームな雰囲気の中、学力の土台となる人間性から作り上げる指導を徹底。メインとなる中学受験本科コースでは、算国理社以外に「ホームルーム」という独自の授業を実施し、スケジューリングやPDCAといったセルフマネジメントの技術指導に加え、成長するマインドのあり方を育てるコーチングを行う。それらの内容はすべて最新の教育心理学の裏づけがあり、エビデンスに基づいた指導に対し、特に理系の父親たちからの支持が厚い。伸学会の指導理念と指導法はメルマガでも配信し、現在約4500人の悩める保護者が購読。

生徒の9割以上は口コミと紹介とファンになったメルマガの読者から集まっている。著書に『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)がある。

●伸学会HP http://www.singakukai.com/
●Youtubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCpmIx1eakUt4zHDLTzUF7eA

著者紹介

連載「なぜマジメにやっても伸びないの?」小学生の子の成績に最短で直結する勉強法

「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法

「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法

菊池 洋匡

実務教育出版

マジメにやっているのに成績が伸びない…。もしかして、お子さんはこんな勉強をしていませんか? “テキストに蛍光ペンで色を塗ったりしながら読む” “漢字の書き取りを何回も繰り返す” “テスト前日に一夜漬け” お…

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