アジア・オセアニアリートは総じて堅調
■足元のアジア・オセアニアのリート市場は総じて上昇しましたが、香港は下落しました。8月7日現在、アジア・パシフィック・リート指数(除く日本、現地通貨ベース)は6月末比+1.7%、香港は同▲2.6%、シンガポールは同+3.6%、オーストラリアは同+1.3%となりました。
■新型コロナ感染再拡大の様相が強まる中、相対的に感染が抑制されているシンガポールは、安定業績の物流施設、データセンター等のリートが牽引する形で上昇しました。オーストラリアは一部の州が都市封鎖に踏み切ったことなどから商業施設リートは軟調でしたが、物流施設リートが選好され全体では上昇しました。
■一方、香港は、感染再拡大を受けた外出規制等の厳格化や、米国が香港に対する優遇措置廃止を決定したことなどが嫌気され下落しました。
世界的に物流施設、データセンターが選好される傾向
■新型コロナ感染拡大の影響でネット販売需要が高まり、7月は世界的に物流施設リートが上昇、商業施設リートやホテルリートが下落し、アジア・オセアニアリート市場でも同様の傾向がみられました。ウィズコロナの環境下、当面この傾向は続くと見込まれます。
感染再拡大を背景に、コロナ抑制策が機能している市場に注目
■シンガポール及びオーストラリアでは引き続き物流施設やデータセンターに投資するリートが選好されやすいとみられます。データセンターに投資するシンガポールのリートが好決算を発表するなど、不透明な外部環境の中で確実性の高い業績動向は投資家に安心感を与えると考えます。香港では、政府の感染対策の再強化が投資家心理を悪化させる展開が続くとみられます。一方、最大手のリンク・リートは、英国で好立地の大型優良オフィスビルを取得しました。長期契約の収益が確保され、相対的な配当の安定性を維持すると予想します。
■香港やオーストラリアの一部での外出規制厳格化や2度目の都市封鎖など、新型コロナ問題は予断を許さない状況です。その中でシンガポールは政府が発生当初から厳格な感染抑制策を実施しており、感染再拡大によって投資家心理が悪化するリスクは相対的に小さいとみています。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『アジア・オセアニアのリート市場は香港除き上昇』を参照)。
(2020年8月12日)
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