開院後も安定した経営を続けていくためには、立地だけに気をとられてはいけません。近隣に「有力者」がいないかどうかについても、しっかりリサーチしたいところです。

同じ科目の「有力者」が近隣にいないか?

“駅前の一等地でしかも1階、間違いなくたくさんの患者が来院するだろう。よし、ここで開業しよう!”

 

クリニックを開業する際に、このように、集患のことだけを考えて場所を即断してしまうと思わぬ落とし穴があるかもしれません。開業医の世界には、長年にわたって培われてきた暗黙のルールがあります。それを知らずして、あるいは知っていながらもあえて無視をして開業場所を決めてしまうと、後々、大きな問題に発展する可能性があります。

 

とりわけ注意を要するのは、開業候補地において、いわゆる“有力者”が同じ科目のクリニックを開いていないかどうかという点です。

あえて「火中の栗」を拾わないよう注意する

ここでいう有力者とは、たとえば、医師会の重鎮であったり、政治家や地場の地主のご子息であったりしますが、いずれにしても当該候補地で非常に強い 影響力を有する人物であることには間違いありません。

 

もちろん、「有力者の近隣で同一科目のクリニックを開業してはならない」という法的な規制があるわけではありません。しかし、何の考えもなく開業してしまったことで、難しい立場に置かれる可能性もあります。

 

半面、「実家での開業を決めたところ、たまたまその近隣に 以前から有力者のクリニックがあった」というようなケースであれば、さすがに有力者も黙認するしかないでしょう。しかしながら、こうした事例はレアケース であり、そのような事情がない限りは、原則として、あえて火中の栗を拾うような開業地の選択はお勧めしかねます。

本連載は、2016年4月刊行の書籍『改訂版 クリニック開業読本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

改訂版 クリニック開業読本

改訂版 クリニック開業読本

髙田 一毅

幻冬舎メディアコンサルティング

2000年から2015年の医療機関の倒産件数は527件。経営破綻した医科・歯科クリニックの8割は破産を選択せざる得なく、再起も難しい状況です。このような厳しい状況の中でも集患に成功しているクリニックが存在するのはなぜでしょ…

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