病気を未然に防ぐ「栄養学」と「食品機能学」に加え、老化についても最前線の研究成果を紹介する。知らず知らずのうちにストレスをため込んでいませんか。健康的な生活を送るために役立つ「食事の知恵」や「医学の意外な常識」を明らかにします。本連載は東海大学農学部バイオサイエンス学科の永井竜児教授の『間違いだらけの栄養学』(辰巳出版)から一部を抜粋し、読んで効く「読むくすり」をお届けします。

栄養のスペシャリストが必要になってくる!

ではどうすれば良いか。だからこそ、医師のみならず、管理栄養士の指導が社会に浸透しなくてはいけないのです。糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病は進行してから処置しては遅い。一度病気の状態になると戻れません。病気の進行を妨げるためにも栄養学が大事になります。

 

栄養士は養成施設として認められた学校でのカリキュラムを履修することで、都道府県から免許が交付されますが、その上位資格であり、国家資格である管理栄養士は、医療従事者として、より高度な知識が要求されます。

 

栄養士は主に健康な人たちの食の栄養指導業務にかかわるのに対し、管理栄養士は傷病者や特別な配慮が必要な人びとに対して、栄養指導や食事に関する管理をおこなっていきます。いわば「栄養のスペシャリスト」です。ところが、日本に約20万人いる管理栄養士は、アメリカなどにくらべるとあまり社会的地位が高くありません。僕はこれが非常に問題だと思っています。

 

管理栄養士になるには、4年制の管理栄養士養成施設を卒業しているか、栄養士養成施設での年数と卒業後の実務経験の年数が合計して5年以上なくてはなりません。資格を取るにも、それなりの知識と経験が必要です。でも実際は、管理栄養士の勉強をしても大学卒業後、数割しか管理栄養士になりません。管理栄養士になっても、給与が決して高くないからです。

 

運よく企業の研究開発部門に入れると、管理栄養士の資格で給料に手当がつきます。病院や保健施設で管理栄養士になるより給料が比較的安定して保障されますが、高いとはいえません。

 

かつての僕の後輩が、大学を卒業してある地方自治体の職員になり、管理栄養士として働きましたが、「初任給は手取り14万円くらいです」とこぼしていました。25年ほど前の話です。市職員の給料は最低賃金より高いはずですが、それでも国家資格を持って14万円では、生活していくにも大変だと、暗澹たる気持ちになりました。

 

最新のデータを見てもその状況は変わりません。人事院が発表した「平成30年 職種別民間給与実態調査」によれば、新卒の大学卒管理栄養士の初任給は月額18万1000円、短大卒栄養士で16万4000円です。

 

厚生労働省の調べでは、平成30年の大卒の初任給平均は20万7000円、短大卒で18万1000円ですから、管理栄養士という国家資格取得者の方が平均より低いのは明らかです。また、平成30年4月時点の管理栄養士の給与平均支給額は26万3500円。年収にすると300万円強が実態といえるでしょう。

 

医療関連の職種で比較すると、医師の平均支給額が92万円、薬剤師が34万円です。准看護士は管理栄養士と同レベルの26万4000円ですが、管理栄養士をわずかに上回っており、このデータからも管理栄養士の給与水準の低さがおわかりいただけるでしょう。

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間違いだらけの栄養学

間違いだらけの栄養学

永井 竜児

辰巳出版

病気を未然に防ぐための栄養学と食品の機能に加え、老化についての最前線の研究成果をもとにしながら、日々の健康的な生活に役立つ食事の知恵や、栄養学と医学の意外な常識を明らかにする。 本書に書かれている健康づくりの…

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