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ベトナムの新型コロナウイルス対応への評価が高まっていますが、当初は(主に先入観から)懸念の声もありました。国境の一部は中国に接すること、また地図で確認すると武漢からも相対的に近いこと、そして特に都市の人口密度が高いことなどがあげられます。悪条件は揃っていますが、ベトナム政府の取り組みは、これまでのところ、機能していると言えそうです。

ベトナム:感染者300人台で、死者はゼロ。新型コロナウイルスの対応で注目

米国ジョンズ・ホプキンス大学によると、2020年7月9日(日本時間正午現在)、ベトナムにおける新型コロナウイルスの感染者数は369人、死者は(いまだに)ゼロとなっています。

 

このベトナムの感染者の少なさに注目した記事や、レポートが発行されています。たとえば、国際通貨基金(IMF)は6月29日にブログでベトナムを取りあげています。また、政治調査のポリティコも5月後半にベトナムを取りあげるなど、ベトナムの政策や対応などが注目されています。

どこに注目すべきか:ベトナム、死者ゼロ、情報開示、デジタル活用

ベトナムの新型コロナウイルス対応への評価が高まっていますが、当初は(主に先入観から)懸念の声もありました。国境の一部は中国に接すること、また地図で確認すると武漢からも相対的に近いこと、そして特に都市の人口密度が高いことなどがあげられます。悪条件は揃っていますが、ベトナム政府の取り組みは、これまでのところ、機能していると言えそうです。

 

まず、ベトナムの経済状況を簡単に振り返ります。ベトナムのGDP(国内総生産)成長率は20年4-6月期が前年同期比+0.3%となっています(図表参照)。新型コロナウイルスの感染抑制のための経済活動の制限を反映しています。たとえば、観光客の多いホーチミン市を訪れた観光客は、年前半におおよそ6割程度減少しています。

 

しかし、新型コロナへの対応が早かったこともあり、経済活動の再開は4月後半には始まっています。たとえば、4月23日には社会的距離政策が緩和され、国内の観光旅行は回復に向かい始めました。IMFも今年のベトナムの成長率を2.7%と予想しており、過去の年率7%程度の成長は下回りますが、しっかりプラスは確保される見込みです。

 

もっとも、他国の回復が必要となる輸出については、改善が遅れる可能性はあります。

 

ベトナムの新型コロナウイルス対策の特色は、対応の早さ、選別的な検査、情報開示とデジタル活用などがあると指摘されています。

 

対応の早さを見ると、中国が昨年末に世界保健機関(WHO)に新種のウイルスを報告したことを受け、1月21日にベトナム保健省が感染防止と検疫のガイダンスを公表しています。そして1月末までにベトナム政府は組織横断的な感染対応体制を整えています。日本でのダイヤモンドプリンセス号の集団発生や、欧州での感染拡大の前の段階です。

 

次に検査体制です。ベトナムでのコロナの検査数は35万件程度で、対人口比で考えれば少ないともいえます。しかし、検査は疑いの強いケースなど選別的に行った模様です。このあたり、違いはあれど、日本の方法に近いのかもしれません。

 

さらに、もっとも注目されるのが情報開示とデジタルの活用です。検査の総数は少なくても、効率よく感染者を特定できた背景には情報開示があるのではとも指摘されています。現地の報告などを見ると、ベトナム保険省の依頼で作成されたウェブページには、感染者のリストが開示され、個人は特定できない工夫がされながらも、年齢や性別、感染場所などがわかる仕組みが提供されました。それもあり、思いあたる人が検査を受ける流れが出来たようです。また、スマートフォンのアプリで感染リスクを判定する仕組みも提供されています。

 

情報開示を徹底し、疑わしい人を特定した後に、隔離のための施設もベトナムでは用意されました。そのために既存の病院に加え、軍の施設なども活用していたと報道されています。

 

早めの対応、組織横断的な体制、情報開示とデジタル活用などがベトナムの感染拡大抑制に寄与したと考えています。

 

四半期、期間:2015年4-6月期~2020年4-6月期、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表]ベトナムのGDP(国内総生産)成長率の推移 四半期、期間:2015年4-6月期~2020年4-6月期、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『何故、ベトナムは感染者が少なかったのか』を参照)。

 

(2020年7月9日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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