生活習慣の中に隠された太るワナ
高コレステロールや高血糖が原因となる動脈硬化や糖尿病の合併症など、血管の病気は、病気の状態になる前の対策・予防医学が大事になります。
その代表が「適度な運動」と「食事」です。しかし適度な運動は忙しいビジネスパーソンになると、つづけることが難しい。ジムに行く時間もままならない方も多いでしょう。運動はカラダに良くても、時間がとれない人は、日常の活動に軽い運動を取り入れる、あるいは食事に頼るしかありませんが、忙しい方にかぎって、外食も多くなりがちです。外食が増えるとわかっていてもなかなか改善できないでいると、 40 代になるころから生活習慣病、糖尿病になってしまう確率がグンと上がります。
「去年と同じ食事なのになぜ今年になって急に糖尿病になったの?」という患者さんがよくいるそうです。その答えは「去年と変わらず、ふつうの生活をしていたから」なのです。なぜふつうの生活なのに、病気になってしまうのでしょうか?
年齢とともに、基礎代謝量は落ちていきます。基礎代謝量は、筋肉量の増加にともない上がるものですが、加齢とともに筋肉の量はふつう減っていきます。また、運動によって筋肉は増えていくものですから、ふだん運動していなければ筋肉はどうしても落ちていきます。ふだんのとおり食べていると、その分代謝されず、あまった栄養はカラダに脂肪となって付き、さらに血中の糖分は上がっていくわけです。筋肉が落ちて基礎代謝も落ちた分、それまでの食べ方を変えなくてはいけないことが、これでおわかりになるでしょう。
永井竜児
東海大学農学部教授